スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『立川志らく シネマ落語 E.T.』

立川志らくシネマ落語 E.T.立川志らくシネマ落語 E.T.
(2008/09/17)
立川志らく

商品詳細を見る

 立川志らく、といえば『赤めだか』(著:立川談春)に書かれていたエピソードを思い出す。簡単に説明すると、こんな話だ。師匠がそれを黒といえば、それが例え白だったとしても弟子は黒と言わなくてはならない。そんな落語の世界において、若き志らくは家元である談志の言いつけを拒否した。そこで談志が「クビだ」と言うと、志らくは「クビも嫌だ」と続ける。じゃあ仕方ない……と、談志は志らくを弟子として迎えた……ということらしい。なかなかとんでもない人間だが、そんな志らくを受け入れてしまう談志も相当にオカシイ。

 本作には、そんな「とんでもない落語家」立川志らくの落語が二本収録されている。一本は古典落語『子別れ』、もう一本は志らく師匠独自の落語スタイル“シネマ落語”による一本『E.T.』だ。“シネマ落語”とは、昔の名作洋画の舞台を江戸時代に置き換え、新しい落語として成立させたものだ。映画愛好家で、自身も映画監督を経験したことのある志らく師匠ならではのスタイルだと言えるだろう。

 一本目が『子別れ』。落語をちょっとでも齧ったことのある人間なら一度は聴いたことがあるだろう、名作中の名作だ。僕は聴いたことが無かったけど(おい)。熊五郎という、腕は立つが酒グセの悪い大工が、子どもとの再会をきっかけに、かつての妻と復縁する……という噺である。オチ間際で発せられる言葉から、『子は鎹』という噺として語られることも多い。

 志らく師匠の『子別れ』は、なかなか面白かった。特に、ちょっと大人びた子どもの言動が絶妙で、終始ニヤニヤさせられた。ああ、子どもってこういう感じだよね、なんて子どももいないのに思っちゃったり。ただ、ちょっと急ぎ足に進め過ぎた感もあった。実際は、もっとじっくりと演じられる作品なんじゃないかなあ……って、他の『子別れ』を知らないから、なんともアレだけれど。

 続く二本目が『E.T.』。ここはオリジナルの「E.T.」と比較したいところだけれど、実は、僕はオリジナルを観たことがないので(ああ、読者の「えー!?」って声が聞こえてくるようだ!)、その辺りのことは曖昧にすることにする(笑) いや、一度は観なくちゃなあ、とは思っているんだけどねえ……。

 ともかく、この『E.T.』。映画のカバー作品として捉えると、なかなか面白かったけれど、オリジナル作品として考えると、ちょっと物足りなさを感じたな。まあ、そもそもがガッツリ映画一本分のエピソードを落語に置き換えているわけだから、色々と簡略化しているんだろうけど、その簡略っぷりがなんとなく分かっちゃうんだよね。仕方ないとは思いつつも、その辺りはやっぱりちょっと、勿体無いというか、なんというか。

 そもそも、通常は一本に対して四十分くらいの時間を取る落語を、ほぼ一時間に二本も詰め込んじゃった、今回の企画自体が無茶だったのかもしれない。流石に普段の志らく師匠が、あのスピードで落語を打っているとは思えないし。その辺り、タイム・スケジュールに問題があったんだろうなあ、たぶん。残念。ただ、E.T.を天狗に置き換える発想には、素直に感心した。あと、オチにも(笑) ああ、あの名場面をそういう風にしちゃうのか!

 いわゆる落語家さんのDVDとしては、ちょっと(時間的な意味で)物足りない内容と言えるかもしれないけれど、立川志らくという落語家さんが、果たしてどういう落語を打つ人なのかを知るための入り口としては、都合の良い作品だった感。本作で志らく師匠の芸を知って、それから深みに嵌っていくのも良いかもしれない。芸自体は良かったもんね。

 次回作、あるなら期待。

・本編(約65分)
『子別れ』『E.T.』
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

検索フォーム
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。