とりあえず、毎度毎度のお約束をばご紹介。
一、このランキングは2013年にリリースされた全ての作品を対象としているわけではない。 一、このランキングは筆者が一方的に決め付けたランキングでしかない。 一、このランキングは雰囲気で決めているので、後で意見が変わる可能性も否めない。 とどのつまりは、「ランキングに文句を言うな!」ということです。わがまま太郎!
では、後が詰まっているので(2014年の作品レビューと2015年の新作レビューが詰まりまくりんぐだよ!)、とっとととっとランキングに移ろうと思う。まだ2014年の作品を全てチェックしたわけではないので、はっきりと断言は出来ないんだけれど、2013年はもうはっきり言って、傑作・名作揃いの豊作イヤーだった。もう、冗談抜きに、石を投げれば傑作に当たるという状態。そこから選抜するのだから、そりゃ名作しかないって話で……おっと、無粋な口上はこの辺りにしておこう。
ちなみに、
『
しずる単独コントライブ Conte Out 』
[レビュー記事] 『
ラブレターズ単独ライブ LOVE LETTERZ MADE 「YOU SPIN ME ROUND」&ベストネタセレクション 』
[レビュー記事] の二作品は最後まで悩みました。うん、まあ次に期待だ。
以下、ランキング。
【10位】 2013年5月26日、ニッポン放送イマジンスタジオにて収録。正直なところ、かつての私はあまりアルコ&ピースのことを評価していなかった。当時、彼らが得意としていたちょっと捻くれた設定のコントが、シュールコントの可愛い大先輩“よゐこ”の足元にも及ばなかったからだ。彼らには、そういうセンスが感じられなかった。だからこそ、『THE MANZAI 2012』で披露された漫才には度肝を抜かされた。コントの世界に留まっていた捻くれた視点が、現実にもはみ出してきたように感じた。ある種の開き直りを経て、アルコ&ピースは更なる進化を遂げたのである。……なのに、どうして『キングオブコント2013』で受精のコントをやってしまうのか……いや、その詰めの甘さもまた、彼らの魅力であるような気もする。その過剰な熱量をむき出しにしたネタで、不器用に芸能界の荒波を乗り越えてもらいたい。
[レビュー記事] 【9位】 2012年12月30日、新宿角座にて収録。当時、松竹芸能に所属していたお笑いコンビ、うしろシティとさらば青春の光の二組による合同ライブを収めた作品である。それぞれのオリジナルネタを三本ずつ(うしろシティの最高傑作『太陽』が観られるのが嬉しい)とユニットコントが四本という、なんとも豪華なラインナップとなっている。うしろシティのシニカルな視点とさらば青春の光の不条理な感覚が絶妙に混ざり合っていて、それぞれの魅力を如何無く見せつけてくれる。……だからこそ、さらば青春の光が松竹芸能を退社したことが、無念で仕方ない。お互いがお互いを切磋琢磨していく関係になっていくだろうと、それこそバナナマンとおぎやはぎの様な関係になっていくだろうと思っていたのだが。……いいや、きっと、いつかまた。
[レビュー記事] 【8位】 .
2013年8月19日、銀座博品館劇場にて収録。シティボーイズの舞台を手掛けていた細川徹を演出に迎えた本作では、ラバーガールが得意とするシチュエーションコントとはまったく違った異質の世界が広がっている。「異質の世界」というと何から高尚な印象を受けるかもしれないが、要するにバカなことをやっているわけである。実在するゲームを舞台上で再現する『リアルパックマン』、大金を手にすることが出来る怪しげなゲームが異様なほどに容易い『ゲーム』、飲み会の最中に大水がいきなり帰った理由をパワーポイントで説明する『パワーポイント』など、どのコントもかなりバカバカしい。本作に収められているコントが『キングオブコント2014』の決勝で披露されていたら、もしかしたらもしかしていたのかもしれない。いや、ホントに。
[レビュー記事] 【7位】 2013年7月26日~28日、新宿シアターサンモールで収録。ライブを活動の中心に見据えている芸人の多くは、そのネタを作品として捉えがちだ。だからかどうか分からないが、彼らのネタはいつもシャープで分かりやすい。自身の作品をより多くの人に知ってもらうためなのか、シンプルさとセンスを兼ね備えている。それが当たり前だと思っていたからこそ、本作を鑑賞したときは驚いた。生臭くて、ギトギトしていて、不快感を覚えることすらあるのに、とてつもなく面白い。感覚に訴えかけてくるコントの数々には、激しく魅了されてしまった。いやはやコントの表現は奥が深い……。
[レビュー記事] 【6位】 2013年9月14日、ルミネtheよしもとで撮影された映像を中心に収録。『はねトび』へのレギュラー出演をきっかけにバカ売れしてしまったロバートだが、冷静になって考えてみると、ここまでイカれたコントを生み出している芸人を世間がよく認めたものだ。ローカルCM用の楽曲をレコーディングしながらキャッキャはしゃいでいる兄弟とか、トゥトゥトゥのリズムだけで盛り上がっている大学サークルとか、喋りたいホームレスと眠りたいホームレスの熾烈な争いとか、何がなんだか分からない。分からないのに面白い。実に恐ろしい。そんなロバートのベストネタをぎっちり詰め込んでいる作品が、面白くならないわけがない。相変わらず、何がなんだか分からないが。
[レビュー記事] 【5位】 2012年11月29日、大阪国際交流センターにて収録。自分がチュートリアルを高く評価する日が来るとは思ってもみなかった。いや、確かにチュートリアルは面白いコンビである。面白いコンビではあるが、自分にはそれがあまりハマっていなかったのである。そして、既に彼らの芸が確立されている今、改めてハマることもないだろうと思っていたのだ。ところが、本作で見事に覆された。漫才もコントもとにかく骨太で見応え十分。特に『山水館』は徳井のセンスと福田のセンスが真正面からバッチンバッチンにぶつかり合っていて、コントというよりもそういう肉弾パフォーマンスを見させられているかのような気分に。中堅となったチュートリアルの本気が見える一品。だから、どうかライブをやめないで。
[レビュー記事] 【4位】 2012年9月27日~30日、草月ホールにて収録。鳥居みゆきのライブはいつも刺激的だ。苛め、自傷、殺人などの衝撃的な表現の向こうに、観客にしっかりと突き刺さるメッセージを打ち込んでいる。本作も同様である。人を殺してしまった女性が辿り着いた新興宗教の世界に次々と打ち込まれる現実と直結したメッセージの数々は、笑いの余韻としてしっかりとこちらのハートに突き刺さっている。表現の過激さが故に一般流通していないと聞いているが、実に惜しい話だ。閉鎖的空間の不気味さを的確に表現し、笑っている傑作である。
[レビュー記事] 【3位】 2011年11月7日~9日及び2012年8月31日~9月2日、銀座博品館劇場にて収録。カンニング竹山が『バリバラ』と今は亡き相方について語っている。それだけで十分に気になるところだが、その上でしっかりと笑いをまぶしているところが実にイカしている。今でこそ、志半ばにして倒れた芸人として悲劇的に語られることの多い相方・中島が、生前はどれだけ破天荒な人間であったかを語る姿は、竹山が真のピン芸人になることを決意した宣言の様でもあった。本来ならば、ナンバー1に選んでもおかしくない作品なのだが……2012年にコラアゲンはいごうまんがDVDを出していなければなあ。
[レビュー記事] 【2位】 2013年8月17日、東京・新宿RUIDO K4にて収録(『Live in Japan』のみ)。お笑いファンには、大手芸能事務所であるよしもと・クリエイティブ・エージェンシーのことを毛嫌いする人間が少なくない。かく言う私も少なからずそういう意識を持っていたのだが、レイザーラモンRGが星野源との対談で「僕や椿鬼奴は吉本興業というどデカイ組織じゃないと生き残れなかったと思うんです。バービーボーイズみたいなネタって女子高生しかいない劇場ではまずウケないですから。もし他の事務所ならその時点で終わりですよ」と語っているのを読んで、ちょっと気持ちを改めた。大手には大手なりに、ちゃんとした利点があるのだ。で、本作は、そんなよしもとの利点から生まれた、歴史に残る逸品である。レイザーラモンRGのなかなか言ってくれない“あるあるネタ”のプロモーションビデオとライブビデオなんて、こんなバカバカしいモノはよしもとじゃないと出してくれないだろう。でも、内容は間違いなし。あのRGの世界観がきちんと反映されている。
[『グレイテスト・ヒッツ』レビュー記事] [『Live in Japan』レビュー記事] 【1位】 漫才やコントで世間からの注目を集めて、それからテレビバラエティへと進出していく……この流れが、昨今における若手芸人が売れるためのプロセスとして認識されているように思うが、考えてみるとヘンテコな話ではないだろうか。漫才やコントを生産するのは非常にクリエイティブな作業だが、バラエティでは他の出演者とのチームワークが求められている。職人であると同時に営業マンを求められるのって、なんだか正しい流れではないような気がするのだ。そこに気が付いたのかどうかは知らないが、本作でオテンキは「普段は舞台上で演じているコントを実際の場所で撮影させてもらえるようにお願いする」という名目の元、テレビバラエティの重要業務の一つである「ロケ」を敢行しているのである。いわば、オテンキのロケを収録するために、コントを踏み台にしているわけだ。結果、本作はオテンキのロケーション力をプロモーションする作品になっている。戦略的だ。で、ちゃんとネタも面白いし、映像も無味乾燥なステージとはまた違った味わいが楽しめて、非常にいい。何の編集も用意していない状態でスーパースローっぽいリアクション芸に挑戦する「スーパースローっぽくやってみよう!」、股間に設置された“ぞうのティンコ”をマントの中でこっそりと脱出させるバカゲーム「ぞうのティンコ」もサイコーに面白い。「ぞうのティンコ」は笑い死ぬかと思った。正直、RGとどっちを1位にさせるか迷ったけど、ぞうの鼻差でこちらを1位に選んだ。オテンキのDVD観ようって人、あんまりいない気がするし。ここでしっかりプッシュしておかないとねえ。
[レビュー記事] こちらからは以上です。さあ、2014年に取り掛からないと……。
あっ、2013年の忘れ物が。
こちらのレビューもそのうちに。
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