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『サンドウィッチマンライブツアー2013』+『サンドウィッチマンライブツアー2014』

サンドウィッチマンといえば、やはり『M-1グランプリ2007』における敗者復活からの優勝という快挙を成し遂げた漫才師としての印象が強い。常連組が早々に戦線を離脱し、ルーキーも明確に力不足を露呈していた当時のM-1は、何処からどう見てもマンネリ化の一途を辿っていた。そんな曇天模様の状況に希望の光を注いだのが、トータルテンボス・キングコングらリベンジ組だ。彼らの骨太で力強い漫才は、それまでの停滞ムードを一気に解消し、決勝の舞台に往年の盛り上がりを取り戻してくれた。一瞬、優勝者はこの二組のどちらかで間違いない、という空気になっていたように思う。そんな流れの中、サンドウィッチマンは華麗に決勝の舞台へと舞い降りて、より煌びやかな光で舞台を自らの手中に収めてしまった。「鳶に油揚げ」の例えの様に、彼らはまったく競争とは関係無いと思われたところから、鮮やかに優勝の二文字を勝ち取ってしまったのである。

だが、個人的には、サンドウィッチマンというと『エンタの神様』のイメージが強い。『爆笑オンエアバトル』を欠かさずチェックしていた私は、『エンタの神様』に出演している未知の芸人のことを低く評価する傾向にあった。それは別に、『オンバト』のことを絶対視して崇拝していたからではない。実際に、『オンバト』に出ていなかった芸人たちのネタが、いずれも面白くなかったからだ。彼らの多くは、大して練り上げられていない一言ネタを大量生産し、その薄っぺらなパフォーマンスで観客を盛り上げ、持ち時間を淡々と消費していた。なんとおぞましい光景か。とはいえ、芸人ばかりも責められない。そういうネタを番組が求めた結果、そういうネタをやる芸人ばかりが出演するようになっていたのだ。そんな『エンタの神様』にサンドウィッチマンが初めて出演したときも、私は大いに侮っていた。ところが、蓋を開けてみると、これが淀みなく面白い。私は大いに感心したが、それでも、これまでに『エンタの神様』が流してきたネタの数々によって私の心中に生じた吹き溜まりが、彼らの面白さを素直に認めさせようとはしなかった。罪作りな話である。

2015年現在、サンドウィッチマンは東北魂を胸に抱いた漫才師として、単独ライブで全国ツアーを展開するほどの人気を維持している。東日本大震災での被災を経験し、芸人として大きすぎる責任を肩に背負った彼らにとって、今や、全ての若手漫才師たちの垂涎の的だった“M-1優勝コンビ”という称号すらも小さい。はち切れんばかりのサービス精神で老若男女を分け隔てなく笑わせている彼らこそ、今最も“エンターテインメントの神様”に近いといえるのかもしれない。

(全然上手いこと言えてないぞ)
 
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2013年の全国ツアーより、札幌公演(9月28日)の模様を収録。

オープニングを飾るのは、彼らお得意のシチュエーションコント『靴屋さん』。伊達が客となって、初めて訪れた靴屋でヘンテコな接客を受けるという鉄板の設定だが、このコントがなかなか始まらない。サンドウィッチマンが登場する際に上がる歓声に対して、二人がいちいちアピールをしてしまい、その度にコントがイチからやり直されるからだ。コントそのものの完成度よりも、目の前の観客を楽しませることを大切にする。彼らの舞台に対する姿勢が感じられる一幕だ。当然のことながら、コントの出来は上々。さりげなく放り込まれるボケと隅々まで行き届いたツッコミを楽しめる。

その後も、サンドウィッチマンらしさが感じられるネタが続く。キャディー伊達がゴルフ未経験者の男を指導する『キャディー』は、ダウナーで情緒不安定な富澤のキャラクターを堪能できるコントだ。M-1優勝を経て、大衆向けの笑いを意識するようになったサンドウィッチマンは、それ以前のブラック要素の強い笑いを控えていくようになっていったが、『キャディー』はかつての彼らが演じていたネタに漂っていた死の香りがして、なんだか懐かしい。旅行客と女将のドタバタ劇を描いた『旅館』『女将の男』は、同じシチュエーションをボケとツッコミを入れ替えて演じてみせた意欲作。しっかりと手堅い富澤女将バージョンはもちろん面白いが、イレギュラーなボケが立て続けに爆撃される伊達女将バージョンも捨てがたい。漫才も揺るぎない。富澤インタビュアーがひねくれた質問の数々で伊達選手を翻弄する『ヒーローインタビュー』、素っ頓狂な勧誘でお客さんからまったく共感を得られない『保険屋さん』、いずれもド真ん中を打ち抜く骨太な漫才で魅せてくれた。お馴染みの小島さんイジリもしっかりと。

中でも、圧倒的な存在感を放っていたのが『面接』。無実の罪によって刑務所暮らしを余儀なくされた富澤が20年の務めを経て出所することになったが、世間から隔絶された日常に慣れきっていた彼にとって、外の世界は分からないことばかりの恐ろしいものとなっていた。出所後、伊達が店長を務めるお店のバイト面接を受けることになるのだが、その面接の最中も、ついつい不安や苦悩で頭の中がいっぱいになってしまい……。実際のやり取りと心の声のズレを描いたコントで、そのスタイルはアンジャッシュのコントを思わせる。ただ、そこに刑務所の生々しい要素を巧みに盛り込むことで、単なるフォロワーではない、「サンドウィッチマンのすれ違い」を見事に描いている。特にタバコのくだりは感心した。

特典映像には、ライブで披露された幕間映像とライブツアーメイキングを収録。伊達が卵の中身を鑑定したり、富澤の“ボウリング嫌い”を克服するために伊達が奮闘したり、とても楽しい映像がてんこ盛りになっているが、個人的にはバックステージのサンドウィッチマンの素の魅力を楽しめるライブツアーメイキングが非常に良かった。楽屋に遊びに来た某先輩タレントの扱いに困る二人と、その結末が面白かったなあ……。


■本編【約69分】
「靴屋さん」「漫才 ~ヒーローインタビュー~」「キャディー」「旅館」「女将の男」「面接」「漫才 ~保険屋さん~」

■特典映像【約65分】
「伊達みきおの卵を見極めろ!」「伊達プロデュース 富澤・ボウリング嫌い克服計画」「ラジオ「子役」「塾講師」」「ライブツアーメイキング」


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2014年の全国ツアーより、札幌公演(9月20日)の模様を収録。


前作と同様、オープニングではシチュエーションコントを披露。今回の舞台は『エステ』。男性専門のエステサロン“男のエステ ダンディマウス”を訪れた伊達が、富澤によるヘンテコな接客を受ける姿が描かれている。相変わらず観客の拍手と歓声にリアクションを取ってしまい、その度にいちいち暗転と明転を繰り返している彼らに、その熱きサービス精神をしみじみと噛み締める。コントの出来は今回も変わらず上々。様々なワードを盛り込んだ正統派コントが展開されていく……のかと思っていたら、何故かアゴとアゴを巡る攻防戦に。そういえば、ここまでしっかりと二人の体型を取り入れたコントって、初めて観たような気がする。

いつも通りの好調な滑り出しを見せたオープニングコントが終わり、いよいよ本編が本格的にスタート……するのだが、これがどうも調子が良くない。面白くないというわけではないのだが、全体的になんとなく粗い印象を受ける。例えば、動物園で今日からお披露目される予定だったパンダが急死していることが発覚、園長の伊達と飼育係の富澤が押し寄せる客への対応策を練るコント『パンダ』は、そのブラック色の強い設定に対して、「シロクマをペンキで塗る」という様なありきたりな展開にしか広がらない。本来、ブラックネタが得意なサンドなら、もっと面白く広げられるはずなのに。路上で自作の歌を披露しているストリートミュージシャンの“MIKIO”に富澤扮する不穏な男が接触してくる『ストリートミュージシャン』は、彼らお得意のキャラクターコントだが、いつもよりも妙にスジの通ったことを言っているからか、なんだかしっくりこない。俳優・哀川頂が結婚のお祝いVTRを撮影する『哀川頂』も、特に山場も見せ場も何も無く……。芸の安定感はバツグンだと思っていたサンドウィッチマンとしては珍しく、本作からははっきりと「不調」が感じられた。色々な荷物を背負い過ぎて、ちょっと疲れが出てしまったのかもしれない。

そんなライブの出来を見越していたのか、幕間映像にはやたらと気合が入っていた。例えば、伊達みきおが自身のプロフィールに表記されている「特技:野球(強打)」が事実かどうかを検証する「伊達みきおの強打は本物か?」では、楽天イーグルスから本物のユニフォームを入手し、サーティーフォー相模原球場(神奈川)を貸し切りにし、元フジテレビアナウンサーの福井謙二を招いて収録するという本格ぶりを見せつけている。また、ライブグッズを某通信販売会社の社長になりきった伊達が紹介する「ドーカ堂テレビショッピング」では、井森美幸を初めとして、様々な芸能人ゲストが出演している。番組で共演しているとはいえ、まさかあの男が登場するとは……。

あと、『ストリートミュージシャン』に自作曲を提供した大友ジュン自身が熱唱する「大友ジュン「エール」」は、サンドウィッチマンのファンなら必見。彼らの若かりし日の映像と一緒に流れる歌声は、なかなかになかなかだった。作詞を富澤が担当しているということを考慮すると、本当になかなかである。


■本編【63分】
「エステ」「漫才~歯医者~」「パンダ」「ストリートミュージシャン」「哀川頂」「漫才~桃太郎~」

■特典映像【72分】
「サンドウィッチマンの体力計っちゃおう企画」「伊達みきおの強打は本物か?【前半】」「伊達みきおの強打は本物か?【後半】」「ドーカ堂テレビショッピング」「DJトミーのオールライトニッポン「運転免許センター近くの写真屋」」「ライブツアーメイキング」「DJトミーのオールライトニッポン「ひよこ鑑別師」」「大友ジュン「エール」」


そんなわけで、2013年のクオリティに感心して、2014年のクオリティに驚嘆した次第だが、果たして2015年のツアーはどうなっているのだろうか。調べてみたところによると、今年は8月1日の東京公演を皮切りに、金沢、郡山、岡山、大阪、福岡、北海道、名古屋、仙台、沖縄を巡る予定とのこと。大爆笑の漫才とじんわり味の染み込んだコントで、また一つ楽しませてくれますように……。
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プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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