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『タカアンドトシ20年目の単独ライブ ~2020年東京五輪の正式種目に漫才を!~』

タカアンドトシ ライブ 2014 [DVD]タカアンドトシ ライブ 2014 [DVD]
(2015/02/18)
タカアンドトシ

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ふと、タカアンドトシが漫才師だということを、すっかり忘れていた自分に気が付いた。なるほど、思い返してみれば、ここ数年の彼らというと、ファミリーレストランの人気料理ランキングを的中させたり、言葉をもじって布団を吹っ飛ばしたり、自身がレギュラーを務めているバラエティ番組で活躍している姿ばかりが目に浮かぶ。かつて、タカが繰り出すベタベタなボケに対して、トシが何度も何度も繰り返して同じワードを使ったツッコミを入れる漫才スタイルで注目を集め始めたことを考えると、この現状はなんとも感慨深い。一度、一般的に定着されてしまったスタイルに包み込まれた後で、芸人としての魅力を表出させることがどれほど難しいか。

そんなタカアンドトシが結成20周年を迎える2014年に開催した単独ライブの模様を収録した本作は、彼らの漫才師としてのポテンシャルが如何無く発揮されている一枚だ。2006年の単独ライブ『タカアンドトシ新作単独ライブ タカトシ寄席 欧米ツアー2006』ではランキング形式で多種多様の漫才を演じ、2009年の単独ライブ『タカアンドトシ単独ライブ in 日本青年館 勝手に!M-1グランプリ』では個性豊かな漫才師に扮して様々な芸風に挑んでいた彼ら。今回は、【2020年東京五輪の正式種目に漫才を!】というスローガンを掲げ、その実現に向けて、漫才の無限の可能性に挑んでいる。

ライブのオープニングを飾るのは『開会式漫才』。なにやら仰々しいタイトルだが、その内容はシンプルなしゃべくり漫才だ。本作のテーマである東京五輪にちなみ、タカアンドトシの結成から現在に至るまでの20年間で開催されたオリンピックにまつわるエピソードを中心に展開している。しばらくぶりのタカアンドトシの漫才だったが、あまりにも面白かったので、ちょっと驚いてしまった。そういえば、彼らは『M-1グランプリ2004』ファイナリストにして『爆笑オンエアバトル』七代目・八代目チャンピオン。確固たる実力者なのだ。驚いたといえば、漫才での二人のしゃべりが、バラエティ番組でのそれとまったく同じだったことにも驚いた。どこまでも自然で、しかし漫才ならではのハイテンポなやりとりが繰り広げられる。その姿からは、もはやベテランの風格すら感じられた。

その後も、様々なスタイルの漫才が披露されていく。漫才中にどれだけボケを詰め込められるかを競う『何個ボケられるか?漫才』、タカがテーブルの上に置いてある小道具を使ってボケ続ける『小道具漫才』、某有名ミュージカルアニメ映画の曲を使ってボケまくる『演劇漫才』(著作権の関係で音声はカットされているが、それらしいメロディと字幕によって違和感無く楽しめた)など、その手法は多岐に渡る。中でも印象に残っているのは、タカアンドトシがツービートの漫才を完コピした『カバー漫才』。ちょっと触れる程度かと思いきや、標語ネタに老人ネタ、犬の糞ネタまで、かなりしっかりと演じている。タカとたけし、トシときよしのスタンスの違いが故に、漫才そのものはどこか歪で不安定な印象を与えられたが、この試みには深く感心した。以前、東京ダイナマイトも他の芸人のネタをカバーしていたが、こういう方法がもっと広く行われてもいいのでは。

そしてライブは終盤へと差し掛かる。最後に披露される漫才は『正統派漫才ファイナル』だ。一見、「正統派漫才」を小馬鹿にしているようなタイトルだが、決してふざけてはいない。前半はアベノミクスから企業合併の話へと展開し、様々な有名企業同士を次々に合併させてヘンテコな名前にしていく大喜利色の強い漫才。なんとなく往年のますだおかだを思い出させるテーマだが、より現代性の強い内容になっていて、今だからこそ出来る漫才としてきちんと成立していたように思う。後半は自身の子どもを自慢し合うという、非常にオーソドックスなスタイルのしゃべくり漫才だ。こういう漫才を正々堂々と演じられるところに、タカアンドトシという漫才師の強みと深さを感じさせられる。ここから更に、大団円的なオチを迎える。過去、漫才ライブにおける大団円オチに対して、私は否定的なスタンスを取っていたのだが(わざとらしさを感じてしまうからだ)、今回は自然な流れになっていて、非常に良かった。細かく書くとネタバレになってしまうので書かないが、それなりに納得の出来るオチになっていたと思う。

タカアンドトシの漫才師としての魅力をギュッと凝縮している本作。バリエーションの豊富さは言うまでもないが、真面目と遊びの丁度真ん中を進んでいるようなバランスの良さも目を見張った。結成20周年に相応しい、とても完成度の高い作品といえるだろう。……ただ、一点だけ引っ掛かったところが。
 
本作は、タカアンドトシの漫才ライブの模様を、三人の外国人審査団が鑑賞しているという演出が取られている。彼らが納得すれば、漫才が東京五輪の正式種目に選ばれるわけだ。正直、この三人のやりとりもうすら寒かったのだが(なにが悲しくて、面白い漫才を観た後でウィットの欠片もない外国人のやりとりを見なくちゃならないのか)、最後の最後で発せられた言葉が自分の中でちょっと引っ掛かった。

ライブの流れを考えると、ああいう展開になってしまうことは想定内。だから、最後の最後で、彼らの漫才に対して否定的なコメントが出ること自体は納得出来る。ただ、その具体的な発言が、なんというか漫才そのものを否定するような内容だったのである。そして、私はそのオチが、「漫才の良さも分からないような連中に対する皮肉」に感じられたのだ。「ああいう頭の堅い連中には漫才の魅力は分からないだろう」とでもいうのだろうか。そういうメッセージを発したい気持ちは理解できる。漫才に限らず、芸能に対して否定的な人間が存在することは、インターネットでちょっと調べてみればすぐに分かる。ただ、それが転じて、「俺は理解できるけどね」と言っているように感じ取れたのだ。“俺”というのが誰なのかは私にも分からないが(当事者であるタカアンドトシではないと思われる)、最後の最後でドヤ顔が見えるような台詞を書き込まないでほしいなあと思った。まあ、単なる思い込み、単なる深読みでしかないのかもしれないが……。

とはいえ、それを引いても十二分にお釣りが貰える、傑作である。


■本編【97分】
「開会式漫才」「何個ボケられるか?漫才」「カバー漫才」「小道具漫才」「団体漫才」「キーワード漫才」「演劇漫才」「意味不明漫才」「セルフカバー漫才」「正統派漫才ファイナル」

■特典映像【28分】
「蔵出し映像集」
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プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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