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孤独(を描くのが上手)な男

 今朝の「めざましテレビ」の芸能ニュースで、市川準監督の訃報が伝えられていた。なんとなく若い人だというイメージを持っていたが、御年59歳だったそうだ。意外と高齢である。恐らく僕の中で、“市川崑=高齢、市川準=若い”という公式が出来ていたために、このズレが生じてしまったのだろう。

 市川準監督の作品といえば、兎にも角にも『トニー滝谷』が印象に残っている。孤独に生きてきた男、トニー滝谷に起こる幸福と悲劇の物語を、短い時間の中で、とても丁寧に描いていた作品だった。僕は村上春樹原作という部分に釣られて鑑賞したのだが、この映画で市川準という人物の名前が頭に刻み込まれてしまった。それほどに強烈な映画だったのだ。

 あと市川監督の作品といえば、『トキワ荘の青春』を思い出す。漫画愛読者の多くが知っているだろう“トキワ荘”の漫画家たちの、静かで熱い青春を描いた作品だ。この作品では、石ノ森章太郎、藤子不二雄、赤塚不二夫……といった強烈な面々を陰ながら支えていた寺田ヒロオにスポットライトを当てている。天才たちを見つめる視線の切なさが画面全体に滲み出るような演出に、とても胸を締め付けられた記憶がある(余談だが、この作品は現在もDVD化されていないらしい。言い方は悪いが、氏の死をきっかけに、DVD化の話を進めてもらいたいものである)。

 だから、そのニュースで市川準監督が『竜馬の妻とその夫と愛人』を手がけたことを知ったときは、心底驚いた。正直言って、映画版『竜馬の妻とその夫と愛人』は、個人的に駄作だと感じていたからだ。時代劇の割に小奇麗だし、コメディなのに切ない空気が漂っているし、話のテンポも良くなかったし……思うに、市川監督作品の空気と、三谷幸喜のドライなコメディ世界の相性が良くなかったのだろう。ちなみに、後で舞台版『竜馬の妻とその夫と愛人』を鑑賞したが、これはなかなかに面白かった。

 市川準氏の訃報のニュースの後で、現在活躍している映画監督三名(北野武、蜷川幸雄、マキノ雅彦)の新作に関係するニュースが取り上げられていた。なんとなく、報道の無神経さを感じると同時に、そこに市川監督がいないことの切なさを、それほどファンではない身でありながら図々しくも感じた僕なのであった。
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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