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同時代のオモいをクリエイト、高橋優に撃ち抜かれた日。



高橋優のことは以前から知っていた。どこでどういうカタチで知ったのかは覚えていないが、確か『福笑い』のプロモーションビデオが初見だったように思う。その時に抱いた印象は、「なーんか甘ったるいミュージシャンだなあ……」。ちょっと爽やかなメガネの兄ちゃんが、ちょいと繊細な雰囲気の編曲とともに甘いハートフルなメッセージを歌っている姿に、嫌悪感とまではいわないにしても、なんとなく「苦手だな」と思った。なにせ【きっとこの世界の共通言語は英語じゃなくて笑顔だと思う】である。メッセージの是非ではなく、その妙に“ウマい”言い回しがなんだか気に入らなかった。タイトルが『福笑い』というのも、少し気取っているように感じられて、苦手意識を更に強めていた。


このイメージが私の中に根深く残ってしまい、その後、長年にも渡って高橋優の音楽をまともに聴こうという気持ちにさせてくれなかったのだから、なんとも罪作りな話ではある。なにせ、『みんな!エスパーだよ!』で熱いテーマソングを歌っていたのを目にしていたにも関わらず、そのイメージが上書きされなかったのだから。とはいえ、高橋優がベストアルバムをリリースすると聞いたときは、「まあ、『みんな!エスパーだよ!』の主題歌は良かったし……」と、少しだけ気持ちを動かすきっかけになってはくれたのだが。ありがとうエスパー、ありがとう園子温。

Amazon箱をコンビニで受け取って、車中で包装を剥ぎ取る。すると、中から姿を表すのは、ボリューム感たっぷりな真っ赤なボックスだ。高橋のこれまでの音源から選ばれた楽曲たちを収録した二枚のベストアルバムと、Zepp Tokyoで開催されたファンクラブ限定ライブの映像と五年間の活動の軌跡をまとめたドキュメンタリー映像を収録した初回特典DVDの計三枚のディスクがパッケージされている。それを収めているケースの外周には高橋優の年表が記載されている。歌詞カードを開いてみると、楽曲ごとに高橋による解説が付いている。本当の「至れり尽くせり」とは、こういうことをいうのかもしれない。

カーステレオの中にCDを突っ込むと、まず流れてくるのは『福笑い』だ。初めて聴いたときには拒否反応を起こしたが、高橋優というミュージシャンが見せる顔の一つだと思えば、当時ほどに違和感を覚えることなく聴けた。続く『明日はきっといい日になる』は、このアルバムが発売された時点で最新のシングル曲だ。シンプルでポップな前向きソングで、好きといえば好きだけど、さほど心は動かされなかった。そして三曲目、『BE RIGHT』。ここでガツンと食らう。ああ、そういえば、私はメッセージ性の強いロックに弱かったよなあ、ということを思い出した。と、ここまで聴いたところで、車は自宅に到着。二枚のCDはカーステレオのためのCDケースへと移動させ、DVDだけが入ったボックスを持って自室に帰る。諸々の所用を片付け、特典のDVDを再生する。

ライブ映像は、とりあえず『オモクリ監督 ~9時過ぎの憂鬱を蹴飛ばして~』から観ることにした。この曲は文字通り『オモクリ監督』のテーマソングで、私はこの番組を欠かさず録画してチェックしている。芸人たちが制作した映像に、北野武が映画監督の視点で批評する姿が貴重だからだ。……通常、私はこういうDVDを一曲目から順番に聴いていくタイプの人間なのだが、この曲が収録されているCDを持っていなかった(もとい、高橋優のCDを購入すること自体、これが初めてだった)ので、「ここでようやく聴ける!」という思いを抑えられなかったのである。結果、非常に良かった。楽曲そのものも良かったのだが、ライブ映像の熱気に圧倒された。『オモクリ監督 ~9時過ぎの憂鬱を蹴飛ばして~』の演奏が終わったら、すぐに一曲目から観始めた。『裸の王国』、『蝉』、そして『BE RIGHT』。気持ちがアガる楽曲が立て続けにやってくる。おおっ、おおっ、おおおおおっ! ……と圧倒されているうちに、ライブ映像は終了。続くドキュメンタリー映像に、また圧倒される。特典とは思えない、しっかりとした作りの映像にグッと引き込まれた。そこで流れた、あるプロモーションビデオの撮影風景。ギターを抱えた高橋が、指から血を流しながら全力で熱唱する姿にも惹きつけられたが、聴こえてくるメロディに妙な引力を感じた。

『素晴らしき日常』である。


愚かしいほどに真っ直ぐで熱くてみっともなくて、そんな自分と同世代のミュージシャンの姿に心を打たれた、という話。
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ツイッターから失礼します(^^)

いきなりのコメント失礼します。高橋優さんは、映画「桐島、部活やめるってよ。」の主題歌「陽はまた昇る」を聴いてガツーン‼ときていながら、他の曲を聴いたことがなかったのですが、この記事を読んで他のも聴いてみようと思いました(^○^)甘い雰囲気があるけど、いい意味で粗削りな印象の不思議なミュージシャンですね*

No title

そういってもらえると嬉しいね。正直、落とすところから入っているから、『福笑い』あたりから入ったファンの人には怒られるんじゃないかって思っていたから。『陽はまだ昇る』はまだきっちり聴いてないな…ベスト盤の終わりの方に入ってるからか、なんだかついつい飛ばしがち。このベスト盤はかなりオススメだよ。初回限定版はライブ映像とドキュメンタリーを収録したDVDが付いてくるし…って、それは本文でも書いてるけど。そうそう、甘さと粗さが成長とともについてくる感じが、凄くいいよね。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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