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『子供はわかってあげない』(田島列島)





夏休みを目前に控えたころ。水泳部所属の高校二年生・朔田さんは、テレビアニメを通じて仲良くなった書道部所属の門司くんの家で、一枚のお札を見つける。とある新興宗教によるものだというそのお札は、去年の誕生日に朔田さんの家へ送られてきたものと同じものだった。朔田さん曰く、「送り主は書いてないけど、たぶん私の実の父親から」。これをきっかけに父親を探すことを決意した朔田さんは、古本屋に居候しながら探偵をしているという門司くんの兄である明ちゃん(オカマ)に本件を依頼する。直後、明ちゃんの元に、問題の新興宗教の人たちがやってきて……。

2014年に「モーニング」誌上で連載されていた作品。後に、“マンガ大賞2015”第2位となったことを記念して、Webコミックサイト「モアイ」でアンコール連載を開始した(私はここで本作の存在を知った)。ごくフツーの女子高生が新興宗教と繋がっている実の父親の所在を調べる……という設定だけを見るとハードボイルドな印象を受けるが、作風の過剰なほどの軽やかさが、その重みを完全に凌駕している。例えば、朔田さんと門司くんの出会いにしても、門司くんが屋上で不良たちに絡まれて……という衝撃的な場面がきっかけとなっているのに、朔田さんがその不良たちに立ち向かうために小銭を拳の中に入れるシーンが丁寧に描かれていて、そのバイオレンスさよりも朔田さんのエキセントリックさが強調されることで、その苦味を和らげている。本作にはそういう描写が少なくない。シリアスなシーンをあえてシリアスにし過ぎない、適度な塩梅の良さが、とても心地良い。とはいえ、決してぬるま湯に浸かっているわけではなく、その枠内に収まっている状態で感動をしっかりと刻んでいる。終盤、ちょっと思わぬ展開になっているのも、個人的にはかなり良かった。あー、たまんねぇなあ!

「♪夏がくれば思い出す」のは遥かな尾瀬と遠い空だったが、『子供はわかってあげない』はまさにそんな印象の作品だった。青空のように健やかで、夕焼けのように包み込んでくれて、田舎の夜のように薄明りが灯っているような、子供の頃に感じていた、あの夏。純粋に夏休みを堪能していた、あの夏。夏が来る度に、私はこの作品を思い出すことだろう。ああ、そういえば、今年はまだ海に行っていない。
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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