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『キングオブコント2015』感想文(全感想終了)

■放送日
2015年10月11日(日)

■司会
浜田雅功(ダウンタウン)

■進行
吉田明世(TBSアナウンサー)
国山ハセン(TBSアナウンサー)

■審査員
松本人志(ダウンタウン)
三村マサカズ(さまぁ~ず)
大竹一樹(さまぁ~ず)
設楽統(バナナマン)
日村勇紀(バナナマン)
 
【ファーストステージ】
■藤崎マーケット(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
『ストリートパフォーマー』。お金を貰うたびに音楽に合わせてダンスを披露しているストリートパフォーマーの元に父親が現れて、母親が入院している事実を告げる。非日常的な空間を作り出すストリートパフォーマーと母親の入院という所帯じみた話題の対比がシンプルな笑いを生み出している。最初は父親の存在を無視していたのに、だんだんと反応するようになっていく展開もシンプル。それでも笑えるのは、最初に披露されたパフォーマンスのクオリティの高さが故だろう。最初に基盤をしっかりと整えていたからこそ、その後の崩しが笑えるのだ。特に笑ったのは、踊りながらも父親が差し出したお金を遠慮して受け取ろうとしないくだり。直前の地図を受け取るくだりがいいフリになっていた。

■ジャングルポケット(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
『親友の彼女と浮気』。恋人の部屋に親友である斉藤の腕時計が落ちていることに気が付いた武山は、同じく親友である太田とともに彼を自室へと呼び出す。そこで浮気の疑惑について問いただすと、斉藤はあっさりと事実を認め、そして……。本来、武山とともにじっくりと時間をかけて修復されるべき人間関係のプロセスを、斉藤が言葉だけでスピーディーに処理してしまうムチャクチャぶりがとにかく面白い。単なるボケではなく妙に的を射ているからこそ、一方的でも不快感が残らないのだろう(無論、本来ならばプロセスの流れを仕切るべき武山は、どんどん苛立っていく。この対比もまた良い)。このような人間関係をテーマにしたコントといえば東京03が得意としている所だが、斉藤の激しすぎる演技がジャングルポケットの個性としてちゃんと光っている。斉藤に懐柔されてしまった太田がいちいち武山に余計なことを言ってしまうくだりも、別ベクトルの笑いとして合間を上手く埋めている。不条理に着地するオチも良い。ベストショットは、「お前にとっては……かけがえのない親友だからだ!」と語りながら崩れ落ちる斉藤の姿。カメラが追えていなかったのが少し残念。

■さらば青春の光(株式会社 ザ・森東)
『芸術家の苦悩』。美術館で見たゴッホの『ひまわり』に心から感動した兄は画家への道を選んだ。しかし、それから八年もの間、一枚も絵を描けずに苦悩し続けている。弟としては、なんでもいいから描いてもらいたいのだが……。生みの苦しみに苛まれている男が、実は一枚も絵を描いたことがないというギャップを下地としたコント。重々しいオープニングからネタばらしまでは完璧。それからの展開はややパターンに入ってしまっているが、東口のツッコミがいいフォローになっている。終盤の「左利きやーっ! 才能ありそうやーっ!」には大笑いした。ただ、先のジャングルポケット・斉藤の演技を見た後だと、どうしても森田のシリアスな演技に物足りなさを感じてしまう。演技そのものが悪いわけではない。森田にも斉藤に相応する演技力があるのに、それをまったく出させていないことにやきもきさせられるのだ。本来、森田は不条理なシチュエーションに踊らされる、コミカルな演技を得意としていた筈である。その森田が、どうしてちゃんとしたシリアスな演技をしなくてはならなかったのか。ことによると、そんな森田のイメージを逆手に取ろうとしていたのかもしれないが、あまり良い効果を生み出せていなかったように思う。とはいえ、なかなか難しいテーマに挑戦したこと自体は、讃えたい。

追記。ネタばらしが弱かったという点は否定できない。似たような導入のコントにインパルスの『キセル』があるが、「重々しい語りをしているけれど実はキセル乗車していた」レベルのギャップは必要だったのかもしれない。その意味では、「頭、あれだけ引っ張ると、一枚も描いてないことへのネタばらしがもうちょっとドンとこなきゃいけないんだけど、そこがふわっとしちゃったんで、後、ちょっと苦しくなってきちゃったのかなっていう……」という三村マサカズの審査コメントは、非常に的確だった。これは観客のリアクションの弱さを受けてのコメントではなく、もっと客を引き込むネタばらしを持って来いという助言だろう。

■コロコロチキチキペッパーズ(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
『妖精』。友達がいないタカシ少年の前に姿を現したのは、妖精のリヨン。ただし、もしもタカシが泣いてしまったら、リヨンは天空の世界へと帰らなくてはならない。その事実を知らされたタカシは、悲しさのあまりすぐさま泣き始めてしまい……。当初はファンタジー色の強い設定についていくことが出来ず、まったく笑えなかったのだが、このコントが「タカシ少年の感情に振り回される妖精の表情の変化を楽しむコント」と捉えると、大笑いできるようになった。台本ばっかり意識しながら見ていると、こういう分かりやすい点をうっかり見逃してしまうからいけない。シンプルな設定、シンプルなフリとオチ、それらを骨太にしてしまうナダルという魅力的な存在。西野演じるタカシの演技も、その魅力を引き出すことに上手く貢献していた。これはハマると大きいな、確かに。

■うしろシティ(松竹芸能)
『悪魔』。1000年の眠りから目覚めた悪魔。自らを呼び覚ました人間に、寿命と引き換えに強さを与えようと語りかけるのだが、その相手はゲートボールを楽しんでいた老人で……。野心をとっくに失った老人の元に、力を与えようとする悪魔が降臨してしまうギャップを下地としたコント。いつもとは違うルールでゲートボールを始めようとした結果、悪魔を呼び覚ましてしまうというアホ過ぎる導入はたまらなく面白いが、肝心の内容が一辺倒で物足りない。“老人の望みあるある”を悪魔が小規模に叶えようとするだけの展開だけでは、ちょっと厳しい。オチを安直な下ネタで片付けてしまったのも残念。何か別方向の展開があれば、もう少し評価も高かっただろう。ちなみに、このコントの完全版を彼らの単独ライブDVDで鑑賞できるのだが、そちらはちゃんと面白かった。下ネタもあるにはあるのだが、それはあくまでもきっかけで、そこから更に少し展開していて……。以前の決勝戦で披露されたコントを観た時にも感じたことだが、彼らはコントを短く編集することが得意じゃないのかもしれない。

■バンビーノ(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
『世界を滅ぼす呪文』。怪しげな呪文で世界を滅ぼそうとしている魔法使い。しかし、呪文を唱えようとするたびに、愛犬のシロちゃんが吠えて邪魔をする。ドリフターズのコント番組を見ているかのような気分にさせられるコントだ。ある目標に向かって前進しているのに、無責任な第三者によってジャマされてしまい、イチからやり直し。この行程をただただ繰り返す。とはいえ、古典的な印象を与えないのは、ファンタジー色の強い世界観のためだろう。また、石山の口調がちょっと外国語っぽいこと、シロちゃんにツッコミを入れるときの動きが妙に芝居がかっていることも、その要因となっているように思う。バンビーノといえばリズムネタのコンビとして知られているが、今回は画作りの上手さに改めて感心させられた。シンプルな内容だからこそ、構成はよく練り上げられている。呪文のフェイントをかけたり、シロちゃんが急に立ったり、呪文を唱える前に吠えられたり。一つ一つにしっかりと引っ掛かり、印象に残るよう努めている。オチはややあっさりテイスト。何かスパーンとハマるものが欲しかった。

■ザ・ギース(ASH&Dコーポレーション)
『ビフォーアフター』。結成10年目を迎えて老朽化が進んだザ・ギースのコントを、匠が華麗にリフォームしてみせる。あからさまに駄目なビフォーから美しく整理整頓されたアフターへと生まれ変わったことによって生じる、過剰な爽快感を笑いに昇華したコント。一つのコントをとある特定のテーマの元に改変させることで笑いを起こすネタは過去にも幾つか観たことがある(特にアンジャッシュが得意)が、それらの多くは良いモノがダメになってしまう展開を取っており、その意味では、このネタは逆転の発想を突いていたといえるのかもしれない。ただネタとしては物足りない。コントとしてリフォームされたという設定なのに、改善されたはずのコントそのものにボケが見受けられないからだ。笑いどころが少ないという話ではない。コントをリフォームしたという事実に説得力を持たせるための、最低限のボケがないという演出上の問題を指摘しているのである。なので、「改善されたように見えたコントだけど、まったく面白くなかった」という旨のオチが用意されているのかと思いきや、二人が「ありがとう!」と言いながら暗転するというふわっとしたオチに。これでは納得できない。きちんと正しい改善から過剰な改善への極端化だけでは、あまりにもパンチが弱すぎる。加えて、コントの下地に「ザ・ギースがシュールと呼ばれる芸風で10年間活動し続けてきた」というメタ的視点があったのも引っ掛かった。メタな笑いを否定するつもりはないが、ゴールデンタイムで放送されるレベルの大衆性が求められる賞レースでは、そういう類いのコントは勝てない。このネタを決勝戦に上げた準決勝の審査員は何を考えているのか。このコントを決勝戦に上げるのなら、どうして今まで上げなかったのか。完全に個人的な意見になってしまうが、もっと面白いコントをザ・ギースは準決勝戦でやっていただろう。それなのに、散々待たせておいて、やっと決勝戦に上げたのが絶対に勝てないメタ視点のコントってどういうつもりなのか。もっと、もーっと面白いコンビなんだぞ!!! ザ・ギースは!!! ふざけ(以下長くなるので省略)

■ロッチ(ワタナベエンターテインメント)
『フィッティングルーム』。パンツを合わせるためにフィッティングルームに入った客。似合っているのかどうか判断できない様子だったので、確認のために店員が入口を開けると、そこにはまだパンツが穿けていない状態の客が……。様々な工夫を重ねて同じパターンのボケを成立させる手法のコント。『キングオブコント』でいうと、ジャルジャルの『おばはん絡み』が一番近いか。しかし、日常的に起こり得るシチュエーションをテーマにしているため、ジャルジャルのそれよりも受け入れやすくなっている。フィッティングルームが開かれるまでのフリも非常に丁寧。序盤のコカドと中岡の会話は実際のお店で繰り広げられていても違和感がないし、中盤から「ゆっくり開ける」「自分で開ける」などとちょっとずつ見せ方を工夫していくところも上手い。最後の最後に原点に戻るかと思わせておいて、ちょっと変化をつけた落とし方をしたのも素晴らしかった。だが、このコントの本当に素晴らしいところは、キチッと作り込まれた完成度の高い構成を「パンツを穿きそうで穿かない」というシンプルなアホさでコーティングした全体のバランスだろう。こんなにも卓越したコントを、あのロッチが作り出すなんて! 完全に見誤っていたなあ。

■アキナ(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
『小鳥』。秋山が飼っている小鳥の体調が悪くなったため、動物病院へとやってきた二人。診断の結果は捻挫。ほっと胸をなで下ろす秋山だったが、付き添いの山名は何か言いたそうな顔をしている。実はこの日、二人は山名が大ファンだというアメリカのロックスターの来日公演を観に行く予定だったのだ……。秋山のペットに対する誠実な気持ちを丁寧に評価した上で「小鳥を飼育する行為」に対して偏見をぶちかましてみせることで、不謹慎と共感の絶妙なラインを突いたコント。この着眼点は素晴らしい。確かに、猫や犬のようにがっつりとした哺乳類に対して、小鳥のような小動物の命は何処か軽視されがちだ。わざわざ口にするほどではないが、多くの人が抱えているであろう感覚を上手く表現している。それを経て、更に「鳥は、食べ物です!」という度を越した不謹慎をぶちかましてきたのも良かった。こうなると共感は出来ないが、今度は不条理さが笑えてくる。惜しむらくは、山名が鳥に対する気持ちをぶちまけてしまうだけでコントが終わってしまっているところ。もう一展開あれば、印象が大きく変わっていたのでは。あと、個人的には、「捻挫」のところにも触れてもらいたかった。小鳥を飼われている方の間では当たり前のことなのかもしれないが、ちょっと「鳥って捻挫するの!?」と思ったので、何か対応してもらいたかったなあ……と。

■巨匠(プロダクション人力舎)
『回転寿司』。回転寿司屋のバイト初日を終えたホール担当の本田。裏で寿司を握っている先輩の岡野のところへ挨拶に行くと、この後の歓迎会についての話を聞かせてもらった。しかし、当の岡野は歓迎会に参加しないという。何故なら、岡野の足はコンクリートで塗り固められていたからだ……。実際には有り得ないシステムの回転寿司屋を創作することで、実際の回転寿司屋との違いを笑いへと昇華しているコント。笑いの生み出しかたとしては、ラーメンズの『現代片桐概論』に近いのかもしれない。衝撃的な切り口もさることながら、理にかなったディティールの細かさが素晴らしい。ただ、表面的な説明だけでコントが終わってしまっているような、あっけなさも感じられた。回転寿司屋を牢屋的に捉えるのであれば、もっと自由な発想で立体的な視点を組むことが出来たのではないだろうか。ところで、今回のキングオブコントはシンプルなコントが評価されていると言われているらしいが、個人的には、むしろ独自性の高い設定なのにしっかりと肉付けされていない脆弱なコントが揃ってしまったという印象を受けている。かもめんたるやシソンヌが優勝した事実を踏まえて、更なる高みを望んでもらいたいところ……偉そうだな!

【結果】
ロッチ、コロコロチキチキペッパーズ、バンビーノ、藤崎マーケット、ジャングルポケットの五組がファイナルステージに進出する。関東色の強い審査員に対して五組中四組がよしもと所属という結果がなんだが面白い(ロッチもそもそも大阪NSC出身だし)。

【ファイナルステージ】
■ジャングルポケット(ファーストステージ5位)
『彼女の旅立ち』。アメリカへと旅立つ彼女を引き留めるために、羽田空港に行きたい太田。しかし、会議を目前に控えているので、簡単には身動きが取れない。思い切って部長に頼み込んでみるも、あっさりとつっぱねられてしまう。しかし、それはあくまで上辺だけで、部長は本当は太田を羽田空港に向かわせてあげたいと思っていた。そこで部長は、体調が悪くなったフリをして、自分が横になっている間に向かわせようと考えたのだが……。フィクションにありがちな設定を、あえて定番の展開に転がさないことでパロディ化しているコント。その上で繰り広げられる、部長の意図を察しない太田と同僚の武山のマヌケぶりもまた楽しいし、結果として、そんな二人に振り回される部長の混乱ぶりもまた楽しい。ただ、斉藤の演技がボルテージ高すぎて、ちょっと本来の笑いが見えにくくなってしまっているようにも感じられた。

■藤崎マーケット(ファーストステージ4位)
『恐怖の館』。西洋風のお化け屋敷“恐怖の館”にとある客が入ってくる。お化けの仕掛けに舌打ちしたり、出てきたお化けに蹴りをかましたりと、明らかに普通の様子ではない。その正体は、なんとゾンビを演じている男がかつて捨てた息子で……。一本目のコントと同様、非日常的なシチュエーションに所帯じみた話題を持ち込んだことによる対比を描いている。ただ、一本目をなぞるだけではなく、中盤で更に人間臭いアクセントを加えることで、世界観により深みを与えている。壊してしまった十字架を確認された際に出た田崎の「わぁー!」の言い方よ……。その分、一本目より純度は落ちてしまったが、個人的にはこちらの方が好ましい。最後にトキが放つ「何処も大変やなあ……」の一言に至るまで、とても魅力的なコントだった。一発屋芸人として泥水をすすってきたコンビによる泥臭いシチュエーションのコント、実に素晴らしかった。

■バンビーノ(ファーストステージ3位)
『マッサージ』。マッサージを受けに来たお客さんが、ツボを押されるたびにちょっと変わった声を出してしまっていたので、その声を利用してオリジナルソングを作る。「身体のツボを押され、その気持ち良さから変な声が漏れる」というマッサージあるあるを下地にしたコント。一見すると無作為に吐き出される単語が、石山演じるマッサージ師によって繋ぎ合わされ、一つの無意味な楽曲を構築していく様が心地良い。感覚に訴えかけるタイプのネタなので楽曲が生み出されるまでの流れがとにかく丁寧かつ慎重だし、シンプルな前半でシステムを理解させてから後半にしっかりと肉付けを施している構成も上手いし(「イエー!」の絶妙な存在感が素晴らしい)、本筋とはまったく無関係だと思われた単語を終盤でさらりと回収する展開もニクい。実に素晴らしい。惜しむらくは、「お寿司なんですよ!」が詰まってしまったところ。直後、すぐさま取り返していたので致命傷には至らなかったが……。

■コロコロチキチキペッパーズ(ファーストステージ2位)
『卓球』。卓球の試合でダブルスを組むことになった二人。初めてのダブルスに不安を感じている後輩の西野に対し、自分を頼れば大丈夫だと優しい言葉を投げかける先輩だったが、いざ試合が始まると……。卓球で勝ったときに吐き出される「さあ!」という雄叫びとsurfaceの楽曲『さあ』の歌詞を掛け合わせたコント。そのシンプルな仕掛けに何の意味もない「くれい」のポーズをアクセントとして加えることで、飽きることなく楽しめるパフォーマンスを完成させている。コントに楽曲を用いている点や前半と後半で明らかに肉付け具合を変えている点など、先のバンビーノのコントと似通っているところが幾つか見られるのが興味深い。それでも、バンビーノよりもこちらの方が印象に強く残るのは、こちらの方がコンビならではの掛け合いを意識したつくりになっているためだろう。西野がわざわざ先輩の視線をこっちに向けさせて例のポーズを取るくだりなんか、実にたまらなかった。西野の行動そのものも面白いのだが、それを見させられる先輩の表情が実に良い。その先輩が後輩のポーズをやりたがり始める展開も良かった。痒い所に手が届いたな。

■ロッチ(ファーストステージ1位)
『世界タイトルマッチ防衛戦』。ボクシングの世界タイトルマッチ防衛戦当日、相手にビビっている現チャンピオンは体調を崩しているフリをして試合を休もうとする。設定そのものは悪くない。ボクシングの世界タイトルマッチを制している現チャンピオンが、まるで思春期真っ只中の中学生の様に試合を休もうとしている姿は、たまらなく面白い。ただ、見せ方がもうちょっと、どうにかならなかったのかという違和感が残る。例えば、冒頭に差しこまれた新聞記事の情報は、コントの中できちんと説明することが可能だった。むしろ、新聞記事をパッと表示しただけでは説明不足だったように思う。序盤で笑いがあまり起きていなかったのも、そのためだろう。しかし、それを加味した上で、ロッチがこのコントを二本目に用意してきたという事実は、なんだか解せない。一本目であれだけぜい肉をそぎ落としたコントを演じていたロッチが、二本目でここまでユルいコントを無計画に演ってしまうだろうか。この事実について、私は二つの理由を思い描いている。一つは、一本目でギッチギチに手堅いコントを披露したので二本目は自分たちのやりたいコントをやろうと思ったのではないか、という理由。もう一つは、ここでロッチが優勝しても大した利潤は得られないので、一本目のコントでコント師としての技量を見せつけた上で二本目のコントで失敗して「ロッチ」のタレントとしての地位を守ることにしたのではないか、という理由。その真の理由は彼らにしか分からないことだが……。色々な意味で衝撃的だった。

【結果】
コロコロチキチキペッパーズが優勝。2010年以降に結成されたコンビが優勝するのは今回が初めて。また、大阪吉本所属の芸人が優勝するのは、08年大会で優勝したバッファロー吾郎以来のこと。歴代大会を見ても、関西勢が優勝するのは珍しいことなので、大阪吉本は彼らを覚悟して育ててもらいたい。

【総評】
これまで、キングオブコントの決勝戦はなるべくリアルタイムでの鑑賞を心掛けていたのだが、今年はやむにやまれぬ事情でそれが叶わず、録画したものをチェックする形を取った。そのため、生放送特有の臨場感や、TwitterなどのSNSを通じて不特定多数の視聴者たちと意見をぶつけ合うことによる高揚感が得られず、例年に比べて賞レースの醍醐味を味わえなかったように思う。しかし、その一方で、他者からの影響を受けずにコントとしっかり向き合うことが出来たようにも思う。

今大会で初めて採用された五人による審査が一部で物議を醸しているらしいが、個人的にはそこまで違和感を覚えるものではなかった。初見時には、さらば青春の光に対する低評価とコロコロチキチキペッパーズに対する高評価に驚いたが、納得がいかないというほどのものではなかった。とりわけ08年以来の決勝進出となったザ・ギースの敗退が大きな話題となっているようだが……それほどまでのネタだっただろうか。準決勝戦では大変にバカウケしたらしいのだが、メタ云々を抜きにしても、私には少し物足りなかった。設定そのものは興味深いものがあったし、だからこそ後半の展開にも期待したのだが、彼らならもっと面白い笑いを生み出せていた筈だ。巨匠の審査において、松本人志が「この設定でいくならもっと面白くないとダメかな」というコメントを残していたが、今大会では同様の評価を受けるタイプのコントが軒並みファーストステージで敗退していたように思う。とりあえず、この大会でザ・ギースに対して興味を抱いた人は、彼らのベストコント集『ザ・ギース コントセレクション「ニューオールド」』を観てもらえると有難い。決勝戦で披露されたコントよりも、ずっと面白いネタをやっているので、是非。

今回の放送を見て、「我々が愛したキングオブコントは死んだ!」と語っている人もいるという。確かに、そうかもしれない。準決勝戦敗退者が審査するという形式はキングオブコント独自のものだった。それを捨て去ってしまったということは、他の賞レースと同等に成り下がってしまったといえなくもない。だが、あえて逆転の発想を提案するならば、これはむしろ蘇生なのではないだろうか。近年、キングオブコントは、着実に世間の注目を集めなくなっていた。各回の出場組数を見ると、そのことがよく分かる。第1回大会には2,146組が出場、その後は回を増すごとに人数を増やしていたが、2011年の3,026組をピークにその数は減少化。今年の出場組数は2,455組だったという。M-1グランプリが最初から最後まで出場組数を伸ばし続けていたことを考えると、実に危険な状況であったといえるだろう。だが今年、決勝戦の視聴率が史上最高を記録したことで、キングオブコントは再び注目を集めるようになった……かもしれない。結果は、来年開催されるであろう『キングオブコント2016』に出場する組数が発表されるまでは分からない。けど、まあ、きっと大丈夫だろう。ともあれ、コントが死んだわけではない。これまでも数多く生み出されていくであろうコントの名作に期待して、新たなるキングオブコントの成長と発展を願いたいと思う。とりあえず吉田明世アナはもうちょっと頑張れ。トチり酷かったぞ。

……ところで、『キングオブコント2015』のDVDはリリースされるのだろうか。例年には、大会終了と同時にリリース情報が公開されていた筈なのだが、今年は未だに話が出ていない。音を取り扱ったネタが多く、版権的な問題を抱えているのかもしれないが、史上最高視聴率を叩き出した大会がソフト化されないなんて、そんなバカな話があっては困る。もしもDVD化されなかったら、それはキングオブコントの死を意味しているといっても過言ではないぞ!(手のひらをすぐ返す)
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長文、失礼します。

点数が低かったのは面白くなかったってことですかね?審査員に合わなかっただけですかね?

どこにでも堂々と出せる東京の正統派のコントは面白くないし、こんなのを笑っている客たちはセンスがないとバッサリ斬られたような感じがしてしまいました。

その日の空気や順番も影響するものだと思いますが、特に現在の関東のお笑いライブシーンで活躍され純粋なネタ番組で評価もされている方々が軒並み審査員に響かなかったなと。準決勝で納得の決勝進出と言われていた組が低い評価で、進出者発表時になぜ??と声が上がっていた組が高い評価でした。いくらライブ会場でお笑いファンに支持されていても、いま審査員の方たちがお笑い界テレビ界を牛耳っている限り世に出ることは困難なのかなと思いました。(自分たちにネタの系統が近いものは厳しく審査されてたのかなとも思いましたが…)

準決勝でもしかすると決勝いけるかもと際どい位置に絡むほど笑いを取って、キャラクターに頼るのではなく、ネタがより活きるためのキャラクターで、テンポも展開もベタだけど楽しさがあったコロチキの優勝は納得でした。

でも、でも、出来は悪くないのにあの場でウケなかった数組は、なぜそのネタをおろしてから準決勝まで芸人や観客から笑いを取れていたのか不思議に思えてきました。面白くなかったんですかね?ライブでもイベントでも内輪の笑いには思えなかったんですけども。
準決勝敗退した芸人の方が客席にいたらまた空気が違ったのかなと思ってしまいました。

あと、
昔の俺だったら…(昔を愛した人はどう思えば?)とか

ネタ選びが…(準決勝で爆発的にウケていたのにそれを言われたら、どうしようもない。準決勝のネタを一本目にする決まりがある?ようで、順番と急な審査方法変更に対応できないのに)とか

準決勝のようにやっていれば…(準決勝でさほどウケていなかったですよ)とか
好み…(比べて大差なく初めて言えるもので)とかヤキモキしました。

文句ばかり並べてすみません。
是非、大会全体の感想もお聞きしたいです。

今大会は、会場の空気や流れに乗るかどうかで、決まりましたね。コロキチ優勝後の来年以降は、どう変わりますか?。

No title

ザ・ギースに関しては準決勝でかなりウケてたみたいなので、準決勝の審査員もそれに流されてしまったのではないかと思います。
あと、準決勝での客層(ライブに足繁く通う人の割合が多い)と決勝での客層(テレビでお笑いを見る程度の人の割合が多い)があからさまに違うなぁ、と最近思うようになりました。というのは、THE MANZAI 2014の予選でウケてた芸人(自分が見た中では馬鹿よ貴方は、磁石、囲碁将棋)が決勝ではスベってしまう現象が起きてしまってショックを受けてしまったのですが、今回でも同じようなことが起こったみたいなので先ほどのことを強く思うようになってしまいました。ネタを多く見る人(つまり前者)は「発想が独特で面白い」ネタを求めて、ネタをあまり見ない人(後者)は「ベタでもいいから面白い」ネタを求めていると思います。このギャップはかなり深いものになっているような気がしてなりません…。
個人的にはネタ番組の減少・深夜移動の影響があるような気がします。
それでは長文失礼しました。

No title

準決勝を観に行きましたが、ザ・ギースは決勝でやったのと同じネタをやって、かなりウケていました(会場の笑いの大きさではトップ3には入っていたと思います)。
その後の決勝進出者発表も観ることができたのですが、ザ・ギースが選ばれた時の盛り上がり方が、少し異様というか、お笑いファンのギ―スに対する愛情が溢れているような雰囲気でした(歓声も1番大きかったです)。上手く表現できないのですが、「ほんとに、ほんとに、よく頑張ってきたね、ギ―ス。。。」みたいな感じです。

今思えば、準決勝で大ウケしたのも、お笑いファンの「ギ―ス愛」みたいなものが少しはあったのかなぁという気もします。決勝進出者は概ね会場ウケが良かった人でしたので、審査員の方々も会場ウケには少なからず影響されていたのでしょう。

準決勝で大ウケしたネタを決勝で使わないのも勇気がいるでしょうし、その場の雰囲気とかもあるでしょうし、優勝には何割かの「運」が必要なんでしょうね。

No title

初めてコメントさせていただきます。いつも菅家さんの感想、興味深く拝見しております。

今大会が始まる前に自分が予想した1stステージ勝ち上がり組は「さらば」「うしろ」「ザ・ギース」「アキナ」「巨匠」でした。ですが蓋を開けてみたら全組敗退…。今になって思えば、これまでのKOCに慣れすぎてしまっていて「なんとなくこういうネタが評価されやすいだろう」という先入観で選んでしまったなと。今年から審査員やルールが変わったのはそういうところを改善する為だったのでしょうし、実際その結果が視聴率の上昇・視聴者の批判の少なさといった形で表れました。来年も大会は継続していけそうですし、審査も今回のルールで落ち着きそうですね。

来年の課題は準決勝と決勝の審査のギャップを如何にして埋めるか、だと思います。今年は準決勝と決勝で別の大会の様になってしまっていたようなので…。特にさらば青春の光は最下位になるようなネタではなかったと思うのですが、決勝の舞台では引かれてしまいましたし。その辺も考慮して選ぶと準決勝のお客さんは納得できないかもしれないので難しいですね。
長文失礼しました。これからもレビュー楽しみにしています。

No title

長いから端的に。冷たく感じられたら、ゴメンね。

>名無しさん
点数が低かった理由はどちらも。審査員が面白くなかったと思ったんだろう。客のセンスはそれぞれなので斬るも斬らないもない。それでいえばロッチがファーストステージで1位になった理由が分からない。彼らこそネタ番組で評価されている芸人の(このメンバーの中では)トップでは。あとテレビ界を牛耳っているのは多分テレビ関係者なので彼らの気持ちとは無関係だろう。賞レースは空気にも左右されるし、出来にも左右される。台本で勝負しているわけではないから、どうしても差は生じる。審査コメントには引っ掛かるところもあるかもしれないが、バラエティのド真ん中で活躍している人たちもまた、笑いと審査の間で戦っているのだろう。許してあげてほしい。ただ松本人志の「昔の俺だったら…」は、素直に経年変化を感じてもらいたい。微塵も変化しない人間はいない。

>宇宙デコポンさん
空気を打破できる芸人こそ優勝に相応しいといえるのかも。コロチキ優勝が関係しているかどうかは分からないが、来年以降はまったく新しい大会として、新しい風を吹かすことになるのでは。

>名無しさん2
準決勝の空気と決勝の空気が違うという話はよく耳にするが、テレビショーである以上は決勝の空気を意識して審査すべきで、それを理由に準決勝の審査員をフォローする気にはなれない。例え、無視できないほどにウケていたとしても。発想とベタについては、どうも敗退に対する言い訳にしかなっていないような気がする。過去の大会を見ても、発想が独特なコントを演じて優勝しているユニットは存在する。それで負けるということは、独特の発想を笑いに変える作業に抜かりがあるからではないか。少なくとも、歴代チャンプであるかもめんたるもシソンヌも、発想だけのコントを披露してはいなかった。

>takeさん
聞いたところによると、準決勝戦で披露したコントを決勝戦のファーストステージで演らなくてはならない、というルールになっていたらしい。ファイナリスト全組がコントを二本ずつ演じられなくなってしまったために追加したルールなのだろうが、これに関しては改悪と言わざるを得ない。もとい、出来ればファイナリストは、またコントを二本ずつ演じられるルールに戻してもらいたい。ファーストステージ下位グループにリベンジのチャンスを与えてほしい。

>トーやさん
どうだろう。審査員やルールが変わったのは、単なる視聴率対策ではないかと思うが。もし、過去のキングオブコントと同様のルールで、今大会のファイナリストたちが競い合ったとしても、結果はさほど変わらなかったのではないか。まあ、そんなことを言ったところで、単なる妄想にしかならないのだが。

ロッチの中岡は終了後に悔し泣きをしていたらしいので、あのコントもちゃんと勝つために選んだのだとは思います。
個人的には「奥さんを下さい」とかを期待してたんですけどね。

らしいね。ということは、あのネタで優勝しようとした09年の笑い飯みたいな感じだったのかもしれない。いずれにしても、愛らしいコンビだよな。

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コロチキ2本目の「くれぃ」のポーズは鶴の英語のcraneにかかってるってのを書いてる人を見ました。それが正解かどうかはわかりませんが。

No title

>管理人のみ閲覧の人
なんか分からんが、楽しそうでなにより!

>さかなさん
おおっ、それは有難い情報を。
そういう伝わらないところにも根拠があると、ちゃんと説得力として反映されるからね。

No title

今回もかゆい所に手が届く感想、お見事でした
後自分は今回お客様がまったく笑ってなかったなぁとおもいました。それは多分芸人審査員がいなかった空かなぁと自分では思ってます。来年はよかったら芸人審査員も読んで欲しいなぁと思いました!

No title

有難う。なんでも今大会は前説がいなかったとか。そのあたりの不備については批判を受けて然るべきところだろう。客が盛り上がってこその芸人だからなあ…。

こんばんは、盛況ですね。

ロッチのフッティングルームが高評価だったのは、シンプルである事とコンビにしか出せない面白さだったかと。

キングオブコントでのコントは、軽演劇の様にシナリオ重視ですがロッチはただただ、着地点を繰り返すと言う、軽く見れる感じ。

中岡さんの何とも言えないあのリアクション、あれは中岡さんのとぼけていながら得たいの知れない感じがマッチしていたかと。

ただただ、ザ・ギースが評価されないのが残念で仕方なかったです。

吉田アナは働き過ぎなので許してやってほしい。
関西で見られる分だけでも週8本か9本(うち生放送6本、この日も朝からサンデージャポンに出てた)しかも週刊誌の連載までやっているのだ。

No title

>甚平者水鳥さん
ロッチは普段やっているタイプのコントとは違うスタイルだったのに、それぞれの良さが出ていて良かったと思う。中岡じゃなければ、あのコントはちょっと不穏な感じになっていたのでは。ザ・ギースは優勝とまではいかないにしても、2位・3位くらいの結果はいつか叩き出してもらいたいものだけれど、どうだろうなあ……いつかそんな日が来てくれるのか……。

> K.T.さん
アナウンサーの仕事については詳しくないけれど、大丈夫なのかそれは。本当に働き過ぎなんじゃないのか。ちょ、ちょっと心配になってしまったじゃないか。頑張れ吉田アナ。

No title

通りすがりです
溢れんばかりのギース愛が見て取れました、来年の大会の感想文も楽しみに待ってます

No title

そう言っていただけると有難いネ。いや、本当に、もっともーっと面白いコンビだからね、彼らは。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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