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英国紳士の紳士による紳士のための『キングスマン』

『キングスマン』という映画を観た。


物語の主人公は、何処の国にも属さない独立した国際諜報機関“キングスマン”に属している英国紳士、ハリー・ハート。彼はかつて、自らのミスによって仲間を失ったことがあった。残された幼い息子に彼が手渡したのは一枚のメダル。メダルには電話番号が書かれていた。「何か困ったときは電話してくれ。合言葉は“ブローグではなくオックスフォード”」。

それから17年後……家族は荒れ果てていた。かつて男の妻だった女はろくでなしのクソ野郎と付き合うようになり、その息子のゲイリー・“エグジー”・アンウィンは22歳で働きもしない。ある日、ろくでなしのクソ野郎の手下の車を友人たちと一緒に盗んだエグジーは、警察を煽りながら町中で暴走行為を働いた末に事故を起こして逮捕、取調室で刑務所行きは確定だと宣告される。その時、エグジーはメダルのことを思い出す。試しに電話をかけてみると、いともあっさりと釈放されてしまう。直後、ハリーとエグジーは再会。エグジーに可能性を感じたハリーは“とある案件”を追った末に命を落としたキングスマンの欠員を埋めるメンバーとして彼を推薦、新人試験を受けさせる……。

あえて偏向的な表現をするのであれば、「観た後にオーダーメイドのスーツを注文し、ハンバーガーを食べてビールを飲み干し、女を抱きたくなる映画」。穏当で紳士的、それでいてグロテスクで野性的。その根底にあるのは偉大なるスパイ映画シリーズ「007」に対する敬愛の念と対抗意識だろう。007という時代を超越した大河が存在しなければ、この映画は生まれなかったかもしれない。とりわけ終盤の展開には笑った。007のお家芸を見事に踏襲している。

登場人物はいずれも魅力的だ。主人公のハリーはピチッとまとめられた髪型に英国的スーツを着こなしべっこう縁の眼鏡をかけているという典型的な英国紳士だが、にも関わらず、実に涼しい表情で激しいアクションをしてみせる。教会のシーンを話題にする人が多いだろうが、個人的にはろくでなしのクソ野郎の手下たちをブチのめしたパブのシーンの方が印象に残っている。短いアクションの中で、ハリーの凄さを明確に表現していたからだろう。そんなハリーから様々なことを教えられるエグジーは、いかにも現代風の若者といったところ。その肉体のポテンシャルは超人的だが、精神はあくまでも経験値の少ない若者らしく、様々なシーンで感情を露にしてみせる。一見すると対称的な両者による“継承”の物語は、だからこそ美しい対比として物語を盛り上げてくれる。

エグジーの新人試験と同時進行で描かれている“とある案件”の重要人物、リッチモンド・ヴァレンタインもいいキャラクターだ。ラッパーを思わせる格好をして、言葉巧みに各国の重要人物たちを手玉に取る億万長者。これもまた、紳士たちの集まりであるキングスマンとの対比となっている。しかし、義足に刃物を仕込んだヴァレンタインの側近、ガゼルの美しさには敵わない。冷静と情熱を兼ね備えた見事な存在感だった。

人間が真っ二つにされたり、刃物でえげつなく切り刻まれたり、爽快感よりも痛みを優先したシャープな演出を嫌う人もいるだろうが、とても面白い映画だった。激しくて、クールで、それでいてユーモアもある。グロテスクな表現が故にゴールデンタイムで放送されることはないだろうが、素晴らしいエンターテインメント映画であった。
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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