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『M-1グランプリ2015』決勝戦・感想文

■開催期間
2015年8月17日~2015年12月6日

■司会
今田耕司
上戸彩

■審査員
中川礼二(中川家)
増田英彦(ますだおかだ)
岩尾望(フットボールアワー)
吉田敬(ブラックマヨネーズ)
徳井義実(チュートリアル)
富澤たけし(サンドウィッチマン)
石田明(NON STYLE)
佐藤哲夫(パンクブーブー)
哲夫(笑い飯)
 
【ファーストラウンド】
■メイプル超合金(サンミュージックプロダクション)
「犬を飼いたい」。犬を飼おうと考えている安藤なつに、犬を飼っているというカズレーザーが色々とアドバイスをする。奇抜な衣装を身に付けたカズレーザーの奔放なボケがとても面白い(それでいて「西の芸人の方が芸歴にうるさい」と、ちょっとシャープなボケを放り込んでくるところも魅力的)し、それをしっかりと処理する安藤なつのツッコミも安心して見られる。リアルタイムで観ているときは、男女コンビという組み合わせから南海キャンディーズのことを思い出していたが、その気質はむしろサンドウィッチマンに近いのかもしれない。中盤あたりから、テーマから逸脱してカズレーザーの特殊性に焦点を当てるのも、全国的に自己紹介するという意味合いで効果的だったように思う。ただ、最後の最後でカズレーザーが噛んで、ちょっとグダグダな感じになってしまったのは惜しかった。変則的なオチなだけに、そこは綺麗に決めてもらいたかった(あれはあれで「らしさ」のようなものが見えて笑えたが)。

礼二:87点 増田:85点 岩尾:89点 吉田:85点 徳井:91点
富澤:92点 石田:89点 佐藤:89点 哲夫:89点 合計:796点


■馬鹿よ貴方は(オフィス北野)
「おにぎり屋さん」。おにぎり屋さんのコントがやりたい新道に対し、ちゃんと客を演じようとしない平井。カズレーザーがアッパーなヤバいヤツなら、平井“ファラオ”光はダウナーなヤバいヤツ。両者は会話の流れを無視して奔放な発言を繰り広げるという意味でとてもよく似ているが、その内容がはっきりと「新道に対する悪意」へと向いている平井の方が、ヤバさをポップに表現できているように思えた(普通に会話できるけどヤバいヤツの方が、よりヤバい気がする)。観客を意識している発言も少なくなく、一見すると過激なようだが、実はちゃんと笑わせるための漫才をやっている……と思わせておいての「大丈夫だよ」連発! 観客が油断しているところで、再び一気にヤバいヤツ(もとい「ヤバい漫才」)の方へとハンドルを切る様は実にスリリングで楽しかった。ただ、最後の「顔をひし形にしてやろうか」連発を処理せず、流したまま終わらせてしまったのは、ちょっと勿体無かった。

礼二:88点 増田:85点 岩尾:90点 吉田:83点 徳井:89点
富澤:93点 石田:83点 佐藤:90点 哲夫:90点 合計:791点


■スーパーマラドーナ(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
「女の子の部屋」。「血まみれの落ち武者の霊を見た」という田中が、当時の状況を一人コントで再現してみせる。カズレーザー、平井“ファラオ”光とヤバいヤツが中心となった漫才が続いてきたが、ここにきて今大会で最もヤバいヤツが登場する。その名は田中一彦。なにせ彼は、初めて訪れた女の子の部屋で、何の前触れもなく彼女のお尻を触り、交通事故で亡くなった両親が即死だったかどうかを訊ね、タンスの中からこっそりパンティを取り出して頭に被ってしまう。これらの正気の沙汰とは思えない言動の数々を、前述の二人とは違い、ごくごく平凡な見た目の田中が繰り広げるのだからたまらない。通常ならとても笑えるものではないが、これらのとんでもない言動の間にベーシックなボケを挟み込むことで、観客に「笑っても大丈夫なモノ」として認識、きちんと笑えるように組み立てられている。このバランス感が素晴らしい。また、当時の状況を再現するという設定上、武智が田中の言動を直接止めることが出来ない(あくまで過去の出来事であるため、武智のツッコミで内容を変えると矛盾が生じてしまう)ので、田中のヤバさが留まることなく溢れ出てくるようになっているのも良かった。下手にツッコミに反応して、その言動の理由が明らかになってしまっていたら、ここまでヤバさが表出した漫才にはなっていなかっただろう。武智のツッコミも適切で良かった。とりわけ彼女の犬が亡くなった話を聞いたときの田中のリアクションに対し、言葉ではなく表情で感情を表現していた場面が印象に残っている。掛け合いによって生じるコンビ間の摩擦熱を評価しがちなM-1に、はっきりとボケとツッコミの立ち位置が分断された漫才を持ってきた彼らの思い切りを評価したい。伏線の張りかたも自然で嫌味じゃない。惜しむらくはオチ。田中が武智に急に話しかけた場面で強制的に漫才を終えていたが、彼女の部屋での出来事に絡めたオチにしていた方がスマートに終わっていたのではないか。

礼二:92点 増田:87点 岩尾:93点 吉田:90点 徳井:89点
富澤:91点 石田:88点 佐藤:93点 哲夫:90点 合計:813点


■和牛(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
恋愛ドラマでよくある「ヒロインの女性が結婚式を抜け出して本当に好きな人に会いに行く」シーンが素敵だという川西に対して「全然素敵やと思わない」水田が、その理由をコント形式で解説する。『M-1グランプリ2005』において、ブラックマヨネーズが吉田の神経質過ぎる思考を中心に据えた漫才で優勝して以降、ある方面において極端な人間がボケ役になってしゃべくり漫才を展開するスタイルのコンビが急増した。和牛もそのうちの一組という印象があって、これまで素直に「面白い!」と感じたことはなかったのだが、今回は笑った。元来、ツッコミどころの多いテーマではあるのだが、和牛はその更に奥へ奥へと突き進んでいく。ただ、掘り下げるだけではなく、ちゃんと随所に分かりやすい笑わせどころ(結婚式の前から式場を抜け出そうとしている彼女の心理を説明するくだり等)を設置して、その作業行程中に観客を飽きさせないように対応している。ある程度、作業が落ち着いてきたところで、彼女の動向の粗を突く展開へとシフトチェンジ。更に漫才は加速する。結婚式をやり直さなくてはならないくだりも素晴らしいが、個人的にはにっちもさっちもいかなくなってしまった彼女に対して言い放たれた「どうしたらいいの?じゃなくて、どうしたいの?」に舌を巻いた。なんというパンチライン! だが、この漫才が素晴らしいのは、この後に「水田の彼女に対する愛情は冷めていない」という、それまでの厳格で強固な語り口とは矛盾しているように感じられる事実が発覚する点である。ここで、なんだかんだで正論を述べていた水田が、ちょっと感覚がヤバいヤツだということが観客に知れ渡る。いわば、これまでの全てのやりとりが、ここに集約されるのである。この仕掛けにはやられた。お見事。

礼二:90点 増田:92点 岩尾:92点 吉田:86点 徳井:90点
富澤:90点 石田:88点 佐藤:90点 哲夫:88点 合計:806点


■ジャルジャル(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
「映画」。「好きな映画は『タイタニック』」だと後藤に決めつけられようとしていた福徳、すぐさまツッコミを入れて訂正させようとするのだが、その言葉のイントネーションに妙な違和感が……。「相方を無視して話を進めようとする」という漫才としてはベーシックな導入で始まっているが、その内容はなんともジャルジャルらしい。イントネーションや言い回しに違和感が残る程度のズレた言動を交互に展開し、じっくりと地盤を整え、後半で一気に二人のズレを畳み掛ける。重要なのは、二人が共に「ボケようとしていない」というスタンスを維持している点だ。この漫才は、そもそもの本題である「映画」以上に、お互いのズレている素の部分が気になって仕方がないので、ツッコミを入れざるを得ないという状況を描いているのである。彼らにしてみれば、「後藤」の妙なイントネーションも、「ちゃがう」の妙な言い回しも、ごくごく自然なことなのだ。後半、福徳の「ことわざ」、後藤の「もうええわ」が利いてくる構成も丁寧だ。寝かしておいた分だけ、ちゃんとツッコミで処理されたときの爽快感はたまらないものがある。このネタについて「ジャルジャルが『漫才』というコントをやっている」と評している人もいるらしいが、むしろ漫才というフォーマットにジャルジャルが自らのセンスと表現をなんとか詰め込んだ、意欲的な“漫才”だったといえるだろう。ただ、審査員の礼二が「大きなネタの枠があって、付録でそういうのを付けてもらえると、より漫才っぽくはなったかも」とコメントしていたように、漫才として見ると物足りなさを覚えるところもある。だが、その課題も彼らなら、なんとかクリアしてくれるのではないだろうか……期待したい。

礼二:89点 増田:89点 岩尾:96点 吉田:90点 徳井:96点
富澤:94点 石田:94点 佐藤:93点 哲夫:93点 合計:834点


■銀シャリ(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
「料理のさしすせそ」。「料理のさしすせそ」を知らない女子が多いことを嘆く橋本に、知っていて当然と言わんばかりに鰻が「料理のさしすせそ」を披露するのだが、それが事あるごとに間違っていて……。ベーシックなテーマから繰り広げられるベーシックなしゃべくり漫才。妙な言い回しになるが、ようやく「ちゃんとした漫才」が始まったような。とはいえ、鰻のテンションが全体的にちょっと高くて、あまり落ち着いては見られなかったのだが。鰻の素っ頓狂なボケに対する橋本の過剰すぎるツッコミの濃度の高さがたまらない。「大変興味深いですねあなた」「麹のお化けに憑りつかれてるんか」「お前どしどし応募してくんな」などのさりげない言い回しから、ボンジョビについての解説や株式会社・野菜のようなちょっと長めに語るくだりまで、とにかくハズレがない。一方、鰻のボケに、橋本のツッコミほどの強烈なワードが見受けられず、ややバランスの悪さを感じなくも。二人がともにボケまくったジャルジャルの後だと、余計にその点が目立ってしまったように思う。

礼二:91点 増田:91点 岩尾:92点 吉田:89点 徳井:95点
富澤:92点 石田:87点 佐藤:89点 哲夫:92点 合計:818点


■ハライチ(ワタナベエンターテインメント)
「誘拐犯」。身代金目的の誘拐ほど恐いモノはないという話題から、誘拐犯からの電話を受けた家族のコントが開始される。ハライチといえば、岩井のボケに対して澤部がノリ続ける“ノリボケ漫才”で知られているコンビだが、今回はなんとシンプルな漫才コントで勝負。正直、その事実に気が付いたときは不安を覚えたが、蓋を開けてみると、これが非常に面白かった。最初は「誘拐したのはフェレット」「近所の親切なババア」とシンプルなボケで安心させておいて、いきなり「息子と息子をトレードしてイカれたゲームが始まる」というサイコパスまっしぐらなボケがブチこまれる。あまりの闇の深さに観客は引いていたが、個人的には大爆笑だ。続く「牛の頭を十個用意してください」も、やはりグロテスクだが先程よりもフィクションの要素が強まって、これまた面白かった。これらのブラックなボケに対して、ポップカルチャーの象徴のように輝きを放つ澤部が全力でツッコミまくるから、笑いは更に増幅する。緊張のためか岩井が噛みまくっていたこと、そして観客が思いっきり引いてしまったことが点数に響いたのか、結果は惨憺たるものだったが、「ハライチは澤部だけではない」ということをしっかりとアピール出来たのでは。いや、良いモノを見せてもらえた。

礼二:92点 増田:89点 岩尾:85点 吉田:83点 徳井:89点
富澤:89点 石田:86点 佐藤:88点 哲夫:87点 合計:788点


■タイムマシーン3号(太田プロダクション)
「太らせる力」。世の中のありとあらゆるものを太らせる力を手に入れたという関が、その宣言通りに、様々なものを次々に太らせていく。オジンオズボーンの漫才が単純なダジャレ漫才へと変化したように、三拍子の漫才が早押しクイズという明確な個性を提示したスタイルへと変貌を遂げたように、売れない時代をそれなりに長く過ごしている芸人の苦心が感じられる漫才だった。ありとあらゆるものを太らせる能力……バラエティでも上手く活用されそうじゃないか。こちらもジャルジャルと同様、とにかくネタのきめが細かい。メインのボケである言葉遊びに、新たな言葉を付け加えたり、伏線を回収させたり。「桃太郎」を「ゆで太郎」に言い換えた上で「麩菓子麩菓子、ハムそぼろに」と畳み掛けたのにはやられた。客の揺さぶり方を熟知している。その上で、ツッコミである筈の山本が“エクササイズの使い手”として、“コレステロールの使い手”である関に技を仕掛けるというバカ展開。売れそびれた世代の芸人の底力をしかと見せてもらった。一つ、惜しいと感じたのは、この漫才の仕組みが「ジョイマン」のそれと同じだと指摘するのが、ちょっと早かった気がしたところ。後半のデブvsヤセのくだりを思うと、あのタイミングに入れるしかなかったのかもしれないが……。

礼二:93点 増田:90点 岩尾:90点 吉田:89点 徳井:88点
富澤:93点 石田:94点 佐藤:91点 哲夫:88点 合計:816点



■敗者復活戦・結果

20位:ニッポンの社長
19位:アインシュタイン
18位:囲碁将棋
17位:セルライトスパ
16位:ダイタク
15位:かまいたち
14位:POISON GIRL BAND
13位:相席スタート
12位:モンスターエンジン
11位:尼神インター
10位:天竺鼠
9位:笑撃戦隊
8位:ダイアン
7位:さらば青春の光
6位:学天即
5位:東京ダイナマイト(16,426票)
4位:チーモンチョーチュウ(21,560票)
3位:ナイツ(23,742票)
2位:とろサーモン(23,916票)
1位:トレンディエンジェル(39,753票)


トレンディエンジェルが決勝戦に進出。

今回の敗者復活戦はテレビでネタが生中継され、視聴者投票によって決勝進出者が決定するというシステムを取っている。当日、私も鑑賞したが、「面白くなったなあ」と感慨深く思えるコンビもいれば、「こんなにつまらなかったっけなあ」と寂しく思うコンビもいた。その中で、ちょっと気になったのはチーモンチョーチュウ、POISON GIRL BAND、とろサーモン、東京ダイナマイト、尼神インターの五組。この中のいずれかに投票しようと考え、悩んだ挙句、とろサーモンに投票した。

■トレンディエンジェル(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
「ハロウィン・クリスマス」。ハロウィンをやったことがないというたかしに、斎藤さんがハロウィンやクリスマスの楽しみ方を教えてあげる。お馴染みの「お兄さん、トレンディだね! うん、トレンディエンジェル」のポーズの時に、斎藤が客席に向かって普段はやらない決めポーズを見せた時点で、彼らの勝利は決まっていたのかもしれない。ハゲネタを駆使するコンビとして、観客にどう認識されているのかを完璧に理解しているからこそ、こういう場でこういう余裕を見せる演出を実行できる。実に軽やかだ。肝心のネタもとことん軽快。ハゲ、歌唱力、中年のおっさん……など、自身のビジュアルをとことん反映したボケでシンプルに笑いをもぎ取っていく。しかし、その一方で「五郎丸選手」「トリプルスリー」「爆買い」などの時事ネタワードを取り入れ、ネタに微かな重みを加えることも忘れていない。改めて、その客観性の高さに感服。

礼二:94点 増田:93点 岩尾:89点 吉田:93点 徳井:88点
富澤:93点 石田:92点 佐藤:92点 哲夫:91点 合計:825点


■ファーストラウンド・結果

1位:ジャルジャル(834点)
2位:トレンディエンジェル(825点)
3位:銀シャリ(818点)
4位:タイムマシーン3号(816点)
5位:スーパーマラドーナ(813点)
6位:和牛(806点)
7位:メイプル超合金(796点)
8位:馬鹿よ貴方は(791点)
9位:ハライチ(788点)


ジャルジャル、トレンディエンジェル、銀シャリが最終決戦進出。

【最終決戦】
■銀シャリ(予選3位)
「騒音」。鰻の住んでいるマンションの部屋は壁がメチャクチャ細い……じゃなくて、薄いので隣人の物音がうるさくて仕方がない。一本目の漫才に比べて、鰻のボケが自己主張しているので、橋本のツッコミがやや控えめに。おかげでコンビ間のバランスは取れているのだが、一本目でビシバシと面白い言い回しを決めているのを目にした後だと、ちょっと物足りない。その分、鰻のボケが面白ければいいのだが、「だって俺……砂時計やもん」「悪いマグロ出て行ったよ!」「(騒音の一例として)この中にお医者さんはいませんか!?」「地球が泣いてる」などの印象的なモノが幾つかあったものの、全体的にはベーシックなボケが多く、ちょっと物足りない。終盤で橋本の例えツッコミ「ティファールか、お前」があまりハマらなかったのも痛かった。あれがバシーンッと決まっていれば……。あと、何気に『THE MANZAI 2013』でやっていた漫才と重なるところがあったのも気になった。勿論、まったく同じ内容というわけではなかったけれど、それにしても……。

■トレンディエンジェル(予選2位)
「モテる方法」。女の子にモテたいというたかしに、斎藤さんがモテる方法を指南する。「モテる方法」という漠然としたテーマの中に「におい」「ダイエット(+ボクシング)」「ボウリング」という三パターンのシチュエーションをはめ込み、ハゲネタを中心としたシンプルなボケをリズミカルにはじき出していくスタイルの漫才。たかしのお尻を眺めるくだりからの台形の面積、シャドーボクシングからの「左ハゲ!」、頭髪30%カットからのライザップCMパロディと、ボケをフリにして更に大きなボケへと繋げていく様子はまさに圧巻。正直、ボケそのものはさほど独創的ではないし、一つ一つのやりとりもまとまっておらず、一見するとまるで洗練されていないようだが、その余白にこそ彼らの漫才の良さが表れている。独創的ではないからこそリズミカルに演じても笑いに置いてけぼりを食らわないし、まとまっていないからこそ強引に笑いを盛り込んでも違和感が残らない。それも分かった上でやっている……のか、どうかは分からないが。実に恐ろしい。

■ジャルジャル(予選1位)
スポーツ。「好きな映画は軟式テニス」だと後藤に決めつけられようとしていた福徳、すぐさまツッコミを入れて訂正させようとするのだが、その言葉の使い方に違和感が。基本的な流れは一本目の漫才と同じ。とはいえ、「同級生」のことを「同窓生」、「初(はじ)めて」を「初(はつ)めて」、ウマいことを言うたびに「腹減るわ!」「ヨダレ出るわ!」「白飯おかわりするわ!」、「俺のお言葉」「この人だかり」などなど……その一つ一つの表現のビミョーなズレ具合がたまらない。とりわけ、福徳が「いらいら」「カリカリ」「ドキドキ」などの副詞を一つ多めに言ったり少なめに言ったりするくだりは、じわりじわりと笑いが広がっていくようで心地良かった。ただ、一本目の漫才で見られた、福徳の「ことわざ」や後藤の「もうええわ」のような仕掛けが無かったため、やや流して見てしまったような気もする。「雷坊主の添い寝節」みたいなキラーワードがあれば……。

■最終決戦・結果

礼二:トレンディエンジェル
増田:トレンディエンジェル
岩尾:銀シャリ
吉田:トレンディエンジェル
徳井:銀シャリ
富澤:トレンディエンジェル
石田:トレンディエンジェル
佐藤:トレンディエンジェル
哲夫:ジャルジャル


『M-1グランプリ2015』チャンピオンはトレンディエンジェルに決定!

■全体の感想
毎度毎度のことながら、お笑い芸人のネタについてあーだこーだと書くだけの作業に一週間もかけちゃいけないよなあ(笑) まあ、それだけ本気で取り組んでいる……と断言できるほど、自分の審美眼を信じているわけでもないんだけど。なんていうか、気負っているんだろうなあ。大型の賞レースは見ている人が多いから、求めている読者も多いだろうと。結果、ブログの本分である筈のお笑いDVDレビューが遅れているという状況がいよいよ悪化している次第で、これはあまり芳しくないのだけれど、仕方がないわな。ブログの最大の魅力はリアルタイム感なのだ。

まあ、そんなことはどうでもいい。M-1の話だ。『キングオブコント2015』をリアルタイムで鑑賞できなかったこともあって、こちらは絶対にリアルタイムで観ようと意気込み、午後二時には夕飯のカレーを仕込み始め、午後六時には夕飯を終え、トイレやらなんやらをしっかりと済ませた上で鑑賞に臨んだ次第だが、それだけの価値がある大会になっていたネ。まあ、全組面白かった。過去、M-1というと、どうしても一組か二組は「ツマラナイ!」と感じてしまう芸人がいたものだけれど(ダレトハイワナイ)、今回は全組が全組ともちゃんと面白くて、後年まで「『M-1グランプリ2015』は素晴らしい大会じゃった……」と川の流れを見つめながら語り継ぐことのできる大会になっていたと思う。何やってんだ未来の俺は。

今回の最大のめっけもんはメイプル超合金だろう。なんだアイツら。カズレーザーばっかり注目されているけれど、安藤なつの存在感も相当なものだぞ。それなのに、漫才の内容はかなりしっかりしている。しっかりしていることを、ちょっと恥ずかしそうに感じているところもまた面白い(だからこそ、最後のドリフオチなんかやっちゃったりするのだ)。来年も決勝で見られるといいなあ。彼ら以外のメンツは、それぞれ見たことのあるコンビばっかりだったけど、それぞれネタをしっかりとレベルアップさせていて、とても面白かった。特にスーパーマラドーナは素晴らしかった。あんなに生々しくヤバい発言を連発しているのに、ずっと面白いなんて、ちょっとしたカルチャーショックだ。久しぶりに見られたタイムマシーン3号の漫才も良かった。ああ、相変わらずデブネタだけど、やっぱりちゃんと面白い……!

そんなメンバーを押さえて優勝したトレンディエンジェル。正直、彼らはどこかのタイミングで評価されなくてはならないと思っていたので、ここで優勝してくれたことに安心しているところがある。じゃないと、あれだけのポテンシャルを見せつけておきながら、今後も出場資格がある限り、延々と賞レースに出場し続ける悪魔の様なコンビになってしまっていたかもしれないから。……一応、彼らには『オンバト+』三代目チャンピオンという称号があるけれど、はっきり言って世間的には大したアピールポイントになっていないからな……(なっているのだとしたら、ルート33はもうちょっと報われてもいいはずだ!!!)。

それにしても、仕切り直しの第一回大会から、敗者復活戦を勝ち抜いたワイルドカードが優勝してしまう展開になろうとは。正直、結果発表まで、優勝はジャルジャルだと思っていたよ。或いは銀シャリ。だって、ここでトレンディエンジェルが優勝したら、いよいよ大会としてどうなってるんだって話になるからね。でも、まあ審査員は嘘をつけなかったということなんだろう。でも、こうなると、来年きっと開催されるであろう『M-1グランプリ2016』の予選審査、どうなっちゃうんだろうねえ。予選の審査員、ちょっとはプレッシャーを感じてくれるかねえ。いや、それで審査方針が変わってしまうっていうのも、なんだかスッキリしないところだけれど……正解は何処にあるんだか。

なんだかんだ言っているけれど、来年も楽しみです。
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非公開コメント

菅家さん、相変わらずの記事で圧巻です!

というタイトルですが、銀シャリの2本目のネタの原型を披露したのは『THE MANZAI2013』ですよ。
しかし、トレンディエンジェルの優勝もですが、メイプル超合金、スーパーマラドーナ、ジャルジャル、タイムマシーン3号のネタも鮮明に覚えています。彼らの活躍の場が広がってほしいですね。
人間って、ここまで輝けるもんですね(?)

お久しぶりです
今回はタイムマシーンが一番面白かったと感じてるクチで、タイムマシーンが銀シャリを上回って三位に残ってたらトレンディの敗者復活の勢いも止められたんじゃないかと思っています。
ただそれはそれとして同期でオンバト時代からのライバルでもある石田さんから最高得点タイの評価をもらっていたのは無性に嬉しかったですね。

No title

>くりりんぱんさん
あ、ちゃんと確認したのに、直すの忘れてたパターンのヤツだ。修正します。ドモドモ。メイプルは売れるだろうし、スーマラ・ジャルジャルあたりは既に評価されている感じがあるので、タイムマシーン3号を何処かに拾ってあげてもらいたいよねえ。あんなに面白い漫才が出来るのに、世間的にはあんまり知られていないなんて、勿体無いよ!

>のめすぽさん
ご無沙汰です。タイムマシーン3号、本当に面白かったですねえ。以前はもっとベーシックな漫才をやっていて、その頃も十分に面白かったのに、ここまで更に面白くなれるのかと。関さんはなんでも太らせる芸風でバラエティに呼ばれたらいいのになあ、なんか思ったりして。2点差、本当に惜しかった…。ノンスタ石田さんの採点はけっこうTwitterでも話題になっていましたねえ。いいじゃない。同期の感じがいいじゃない。

流れ星といい三拍子といいタイムマシーン3号といい、こういった方々はギリギリ最終決戦に進めないジンクスでもあるんですかねえ。
銀シャリの一本目はボケツッコミのバランスが良かったという感想が多く、この感想は結構意外でした。
全組が個性を見せていた分、ネットの感想も今回は結構割れてるなと感じましたね。
審査員に関しても賛否両論ありましたし。

大混戦でしたよねー。

今回のM-1は大混戦の印象でした。やはりそれぞれの個性が光っていて甲乙つけがたいというか・・・好みが分かれそうなネタ(例えばジャルジャル・和牛の変則型漫才)も含めて色々見られました。
個人的にはメイプル超合金・馬鹿よ貴方は辺りは出番が後半だったらまた点数が変わっていたかもしれない、と考えてみたり。この二組は今後バラエティとかに出てそう・・・。(カズレーザーさんは同志社大卒だそうですし、彼はクイズ番組出演もありえるかも?)

ちなみに全くネタとは関係ありませんが、これまで知らなかった組のプロフィールを見てみたところ馬鹿よ貴方はのツッコミ・新道さんの本名と芸名の脈絡のなさに驚いてます。

No title

>とうさん
オンバト中期に活躍した芸人は、何処か突き抜けきれないところがあるような気がする。そういう意味では、それぞれの気質を抽出した漫才を発掘したハマカーンは、やっぱり凄いよなあ。K助さんのブログを読んだ時にも思ったけど、銀シャリの感想のそこのところだけ自分の印象と違っていて、面白いなあと。橋本のツッコミがキレキレで、鰻のボケはきっかけレベルを超えていなかったように、自分には見えたんだけどねえ…。案外、人は面白いモノを観たときより、面白くないモノを観たときの方が、素直な言葉を吐き出せるからね。面白いモノを言葉にする方が、案外難しいのだ。

>アリスさん
今大会は出番順によって結果が変わったんじゃないかって話はたまに見かけるねえ。そういう勝負運も含めて、芸人は評価されるから仕方がないってところはあるけれどねえ。新道さんは書いている漫才もそうだけど、色々と面白い人だよねえ。

No title

やっぱりトレンディエンジェルはストレートインさせてあげるべきでしたね。
敗者復活は明らかに失敗しているように見えたのですが勝ち上がってくるとは。
とろサーモンが決勝の舞台で、あのネタをやるところをぜひ見たかったです。

ところでノンスタイルのユニクロのCMが面白すぎると話題になってますね。
やはりこのふたりはイキリやるほうが評判いいんじゃないかと思います。

敗者復活の感想もヒマがあればお願いしたいです。
全組じゃなくてもいいので

No title

トレンディエンジェルの準決勝敗退が疑問だっていう声は何度か目にしたけど、彼らがスタッフ方面からあんまり評価されないタイプっていうのはなんとなく分かるねえ。ああいう大衆向けの芸風は、玄人方面にはあんまり評価されないもんだ。とろサーモン、決勝で観たかったねえ。敗者復活戦のネタがちゃんと面白かったし。全国放送で彼らの魅力をちゃんと伝えてもらいたかったよ。NON STYLEのCMのネタは再チェックしていないんだけど、昔のネタの焼き直しだった気がする。そりゃ面白くなるよ。敗者復活の感想……やりたいけど、もうモチベーション落ちちゃってるのよねえ……。

5年振りに復活したMー1でしたが、スベりまくったコンビはいない印象でした。

メイプル超合金はホントにトップバッターの弊害を喰らった印象ですね。

3番手以降だったら、確実に最終決戦までには行っていたと思います。

ハライチは、ノリボケ漫才が世間に浸透していなかったら、恐らくスベっていたかと。

ノリボケと同じような澤部のノリが、漫才コントの新鮮さと上手く合った様な気がしました。

トレンディエンジェルは、ひたすら楽しい漫才でした。

何番手でも大丈夫だと思いました。

タイムマシーン3号がこれから先売れると良いですね。

No title

>甚平者水鳥さん
ハライチは無論、世間にノリボケ漫才が浸透しているからこその、あのネタ選びだったんだろうと想像。まあ、その辺りは、当人たちじゃないと分からないところ……メイプル超合金は来年頑張ってもらいたいねえ。

>アナグラムさん
だねえ。売れてほしいねえ。

大遅刻ですが

スーパーマラドーナのネタは準々決勝とプロットは同じだったんですが細部が違っていました。
ネタバレすると準々決勝のオチは香川照之つながりで半沢直樹にかけた土下座…やはり他局のドラマネタはまずいと思ったんですかね…。

No title

情報どもども。そのバージョンも観たかったなーっ!

追記

あ、会場に行ったわけではなくデイリーモーション動画にあったのを見たのです。
少なくともファイナリストの3回戦と準々決勝の分はありました。
(ちなみにスーパーマラドーナは「ボケの一人芝居にツッコむシリーズ」を推していくのかな…?という印象)

No title

ああ、僕も幾つか動画は見たんだけど、ファイナリストのネタを観るのはなんとなく気が引けて、スルーしちゃったんだよね…見ておけば良かったかなあ。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

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