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『大日本人』

大日本人 通常盤大日本人 通常盤
(2007/11/28)
松本人志神木隆之介

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先日、といっても昨日一昨日の話ではなくて、正確に言うと先週の土曜日のことなのだけれど、僕はアダルトビデオを借りるためにレンタルビデオに出かけた。勿論、オナニーをするためだ。世の中のありとあらゆるアダルトビデオは、オナニーのために作られる。ありとあらゆるコンドームが、恋人同士の快感のために作られているように。

このところの僕は、熟女モノに凝っていた。別に、若い女性たちのヌードに飽きたわけではない。ただ、それらのアダルトビデオに出演している、いわゆる熟女たちの、その醜く弛んだ肉体から滲み出てくる、僅かな色気の濃密な個性を、興味深く感じるようになったからだ。以前の僕は、熟女モノなんて偏執的な趣味を持つ人間だけが見るものだと思っていた。でも、こうして実際に体験してみると、彼女たちが欲情する姿は、なかなかに面白かった。

その日は、アダルトビデオを二本ほど借りることを予定していた。一本は予定通りに熟女モノを選んだけれど、もう一本は企画モノを選んだ。その店で新作として扱われていた映画のパッケージを見ていたら、なんだかムラムラッとしてしまったからだ。ちなみに、その映画のタイトルは『フローズン・タイム』といった。

この時点で、僕の目的は無事に果たされたが、アダルトビデオが二本、という不安定な形が、僕をレジへと向かわせようとしなかった。あと一本、何かが必要だ。心がざわついた。アダルトビデオ以外ならなんでもいい。とにかくあと一本、何かが必要だった。とはいえ、その日は他の何かを借りる予定は無かった。

アダルトビデオのコーナーを飛び出した僕は、特に当てもなく、店内を彷徨っていた。面白そうな作品が幾つか見つかったけれど、どれも僕の心には響かなかった。ところが、ある一本のDVDが僕の目に留まった。以前から、借りてみようかどうしようかと考えあぐねて、その度に手を引いていたその作品こそ、今、借りるべきなのではないかと、その時の僕は思った。

そして今、僕の手には『大日本人』がある。

再生すると、松本人志演じる“大佐藤”へのインタビューが始まった。バスに乗っているらしく、大佐藤の後ろの座席には、一般人と思われる老人が座っている。どうやら、ドキュメンタリー番組形式の映画らしい。いわゆる、フェイク・ドキュメンタリーというやつだ。

序盤はひたすらに、淡々と退屈なドキュメンタリーが続く。どうやら、その世界で大佐藤はあまり受け入れられていないらしい。自宅の壁に「死ね!」という落書きがされていたり、自宅でのインタビュー中、突然窓に石が投げつけられたり。この時点では、まだ大佐藤がどういう人間なのかは知らされていない。ただ、大佐藤という人間の、あまりにもペーソス感漂う日常が綴られている。なんだか、エンターテイメント性の無い伊丹十三映画を観ているような、そういう気分だ。

しかし、公園でのインタビュー中、大佐藤が防衛庁に呼び出されるところから、物語は動き始める。ここで観客たちは知ることとなる。たびたび地球にやってくる怪獣(大佐藤は“獣”と呼んでいる)を、巨大化して退治することが大佐藤の生業だということを。言ってみれば大佐藤は、リアルな日本を生きている巨大化ヒーローなのである。

かつて大佐藤の一族は、多くの人々に支持されていた。獣を退治することで持て囃され、多くの使用人を従え、獣を退治する様子はゴールデンタイムで放送されていた。しかし、今という時代において、大佐藤はもはや時代に合わない存在と化していた。獣を退治しても誰にも褒められないし、使用人は一人も従えていない。おまけに、獣を退治する様子は深夜帯に放送される始末(視聴率はたまに天気予報に負けるらしい)。

昔、藤子不二雄が『ガリバー旅行記』をドラえもんで現代風にカバーしていたことを思い出した。あの作品でも、確か巨人たち(ドラ・のび太)は国民たちに嫌われていたからだ。ただ、『大日本人』におけるそれは、よりリアリティ、かつコミカルに描かれている。先に紹介したテレビ放送の時間帯も、そのうちのひとつだ。

物語が進むにつれ、大佐藤を取り巻く環境がリアルというナイフで次々と捌かれていく。大佐藤になるための儀式はその必要性が問われ、身体に貼られる提供のステッカーは断ることが出来ず、堂々と映すべきだと主張する娘の顔にはモザイクが貼り付けられる。それらのエピソードは大佐藤の神秘性を奪い取り、その脆弱な人間性を剥き出しにする。そのストーリーの重さを誤魔化すためか、ところどころに笑いも含めている(板尾・原西が扮する獣とのやりとりは、笑わざるを得ない)。大佐藤の底が知れるにつれ、どんどんインタビュアーの態度も雑になっていく(折り畳み傘を持った大佐藤に「マメだね~」とか言っちゃう)。そんな大佐藤に終盤、とんでもない事件が巻き起こるのだけれど、この辺はネタバレになるので、略。
個人的には、かなり面白かった。ただ、理解できない部分も多かった。いや、理解できないというよりは、理解しきれないというべきか。その最たる部分が、「ここからは実写でご覧下さい」のテロップ。殆どの映画感想系サイトで触れられていない部分だけれど、これには凄い意味が含まれている気がしてならない。でも、僕の狭い視野では判断しきれない。色々な考えが頭を巡る。でも、どれもハッキリと「これだ!」と言い切れない程度の結論ばかり。で、またぐるぐる。うーん……。

そんな折、ネット上をフラフラしていたときに見つけたブログさんの記事が、とてもしっくりくる記事だったので、ここで紹介しておくことにする。要するに、他人の評価に乗っかっちゃうんだけれど、もうこれが正解なんじゃないかって思ってしまうくらいにしっくりきたので。

「大日本人」(ぐるぐる回る映写盤)

とりあえず僕が言えるのは、なんとなくの印象だけで語ってしまえるほど「つまらない」作品ではなかった、ということ。でも、こういうある程度のリテラシーが必要な作品って、あんまり現代向きではないような。この作品が、ただただ「つまらない」の一言で片付けられてしまっている現状は、現代人のリテラシー不足を意味しているのかもしれませんよ……と、社会学者が言いそうな感じのコメントで、強引に締め。
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プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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