長井秀和の破壊

爆笑オンエアバトル 長井秀和 [DVD]爆笑オンエアバトル 長井秀和 [DVD]
(2004/06/16)
長井秀和

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長井秀和が離婚した。正味の話、それほど驚くべき話ではない。海外で美人局にあったり、日本のモデルと不倫騒動を起こしたり、そのまま海外に留学しちゃったりと、色々な問題を起こしていた彼が、そもそも今まで離婚していなかったことがおかしいのである。ただ、それらの事件が無かったとしても僕は、長井が離婚したということを意外には感じなかっただろう。長井秀和は、そういう芸人だ。

思うに、長井秀和という芸人は世間から、ちょっと甘く評価されすぎているのではないか。確かに、かつてお笑いブームの中心的存在だったバラエティ番組「エンタの神様」にて、彼が披露していた漫談ネタの多くは、芸能人に対する甘っちょろい毒舌を主としたものだったから。

そもそも、長井秀和は漫談師ではなかった。かつての長井は、パントマイムを地盤としたスタイルのネタを披露していた。当時のネタは、『爆笑オンエアバトル 長井秀和』に収録されており、現在も視聴可能だ。ネタのタイトルは、「同じ動きで違うこと」。パントマイムを取り入れたショートコントで、かなり独自性の強いネタだ。

しかし、このスタイルではウケないと考えたのか、長井は2001年に現在の漫談スタイルでオンエアバトルに挑戦し、まさかのトップ合格を果たすことになる。以後、このスタイルでの挑戦は続く。当初は敗退することも多かったが、2002年半ばからキロバトルが安定するようになる。僕が長井のことを知ったのは丁度、この頃のことだった。あまり感情を出さない表情で、淡々と客の笑いを獲得する彼の芸風に、妙な衝撃を覚えた記憶がある。

その後、キロバトルはだんだんと向上し、2004年3月に行われた同番組のチャンピオン大会にも進出。そのセミファイナル戦で、当時の番組史上最高記録を打ち出した。大阪の予選にも関わらず、さらりと大阪の人々をイジったネタで爆笑をかっさらった結果だった。確か、この頃既に長井は「エンタの神様」に出演していた……と思う。ちょっと記憶が曖昧だけど。

長井秀和のネタは、基本的に誰かしらかを対象とした妄想・空想で構築されている。それが事実かどうかは分からないが、とにかく長井のイメージだけで語られる。結果的にそれは<毒舌>と称されるようになり、「エンタの神様」で“クールな毒舌スナイパー”というキャッチフレーズをつけられることになるのだが。例えば以下のネタは、毒気をそれほど発していないが、なかなかに面白い。

「明石家さんま師匠が地べたに引っくり返って、身体をわなわなわなわなと小刻みに震わせているのは、別に笑い転げているわけじゃないんだ! さんま師匠は人より喋り動くから、熱効率が著しく高く上がってしまう。蓄熱・耐熱した臨界点ギリギリの固体を、アースに浸すことによって熱を地面に逃がしているんだ。「ハッハッハッハッハッハ」というような声が聞こえてきたら、それはもう前兆だ! 危ない! 危険信号だ! ショートしちゃう! さんまさんが死んじゃう! 地べたにそっくり返って、熱を逃がして! ……生きるか死ぬかギリギリのところでお笑いをやってるんです!」


ただ、長井のネタが物事の本質をズバッと切り捨ててしまっていることも、少なくない。特に後年は、それを意識してネタを作っていた感がある。「旧正月には流石にピッキング強盗も減るんだ」「もう、モンゴル相撲で良いんじゃないか?」「黒柳徹子の相槌はゲストの話す量を上回っている」など、今見ても、その鋭さが衰えていないネタも少なくない。この尋常じゃないほどの鋭さこそ、僕が長井の離婚を意外に感じない原因だ。

そして気付いたのだが、今、彼と同じようなスタイルの芸風を開拓し、テレビ番組への露出が増え始めている芸人がいる。元猿岩石、有吉弘行だ。有吉が芸能人に勝手なあだ名をつけるスタイルは、長井秀和のネタをシンプル化したものと言えなくもないのではないだろうか。世間では有吉のあだ名芸について、様々な分析を施している人たちがいるが、僕はこの長井本流説を推したい。まあ、推したからなんだって話だけど。

最後に、NHK総合で放送されるってことが分かっていたのにも関わらず、長井がオンエアバトルで披露していた、とんでもないネタを紹介して、このコラムを終わることにする。確か当時、このネタはカットされずに放送されていたと思うのだが……よく放送したなあ、これ。かなり早めの時事ネタだし、コマーシャルネタだし。

「「私は踊る!」「私は配る」って、あと一人「私は取り立てる!」ってヤツがいたのに、カットしやがったんだ!」

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長井秀和について言わねばならないこと

 長井秀和が離婚した云々で話題になっているらしいことを菅家さんのブログの記事の中で知る。  芸能ニュースには関心ないが、長井秀和がやっていることがお笑い好きの間でもどれくらい理解されているのだろうか。このブログでもときどき書いている僕の笑いの好みのう...

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基準は人によって違うとは思いますが……

横山やすしさんや快楽亭ブラック師匠のようなタイプということなんでしょうか。(菅家さんの言いたいことと違っていたらすみません)
私は、スキャンダルで仕事を取り上げるようなことは嫌いだし、クリーンさを無理に要求する風潮にはNOと言いたいのですが、しかし、そういう人であるならば、それに見合っただけの仕事はしなくてはいけないし、限度はあると思うのです。
ネットの記事で見たのですが、この先長井さんの色々な出演はもう決まっているとか。
私の中では、どうしてもバランスが取れているようには見えなくて、「なんだかずるい……」と、思ってしまいます。

No title

>横山やすしさんや快楽亭ブラック師匠のようなタイプ
単純に言ってしまうと、そういうことになるんですかね。最近は教習所出身の芸人が多いせいか、長井さんみたいに傍若無人というか、ムチャクチャなタイプの芸人さんがいないので、どうも過剰に評価してしまいがちです。む。

>どうしてもバランスが取れているようには見えなくて
太田光曰く「いつの日か、磔にされるだろう」芸人なので、恐らく何処かでしっぺ返しを食らうことになるとは思います(というか、美人局→不倫騒動の流れは、まさにしっぺ返しだったような)。ただ、そのしっぺ返しすら長井は逆手に取りそうな卑劣さを匂わせているので、なんともかんともですが。
プロフィール

Author:菅家
讃岐在住の社会人が、お笑いについて好き勝手に書き散らかしているブログ。主にコントを愛でる。好きな芸人多数。好きな映画監督は伊丹十三、三木聡、ウェス・アンダーソン等。

連絡先はこっち。
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

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