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『封印作品の憂鬱』(安藤健二)

封印作品の憂鬱封印作品の憂鬱
(2008/11/15)
安藤 健二

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安藤健二にとって五冊目の単行本となる、『封印作品の憂鬱』を読み終えた。過去の作品と同様、本書も“封印作品”が生まれてしまった背景への調査・取材の様子が、ルポルタージュとしてまとめられている。今回取り上げられている“封印作品”は、『日テレ版「ドラえもん」』『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』『みずのまこと版「涼宮ハルヒの憂鬱」』の三作品だ。なんでも今作は<バージョン違いの封印作品>をテーマにしているらしい。

確かに、『ドラえもん』『ウルトラマン』『涼宮ハルヒの憂鬱』の三作品は、現在も鑑賞可能なソフトとして一般に広まっている。しかし、それら名作郡の背景に、密かに封印されてしまった作品たちが眠っているというわけだ。それは非常に興味深いテーマではあるが、故に、本書は過去の“封印作品”における取材よりも過酷なものになったという。確かに、封印作品と同傾向の作品が、現在に流通しているのである。今更、ほじくり返してほしくないという意識が、関係者の間にあっても当然だ。

それでも、安藤氏は情け無用とばかりに、各所に取材を試みる。最初は封印関係の企業に直接取材交渉を進め、それがダメなら関係筋をあたり、それでもダメなら更に下の方へと連絡を取り、それでも無理なら更に下……と、ワニガメの様に食らいつく。そこから搾り出された証言を元に、安藤氏は更に話の核へと歩みを進めていく。

それにしても、今回取り上げられた“封印作品”の背景は、過去の“封印作品”とは比較にならないほどに、様々な事情が入り組んでいた。ここで例として、『日テレ版「ドラえもん」』の背景について、少しだけ触れてみることにしよう。まさに、芋づる式というヤツであることが分かる。

『日テレ版「ドラえもん」』は、どうして封印されたのか。その背景には幾つかの噂があったが、どうやら原作者である藤子Fが作品を気に入らなかったのではないか、という話が正しいらしい。では、どうしてそんな作品が作られることになったのか。当時の流れを調べてみると、どうも『日テレ「ドラ」』を作った新潟のアニメ会社が胡散臭い。試しにその会社の関係者を調べてみると、予想だりしなかった、とんでもない事実にブチ当たる!

以上のことから、本書は安藤氏の過去の単行本の中でも、トップクラスの出来映えだったことが分かる……と言いたいのだが、残念なことに不満もある。いや、取材の内容自体には、まったく不満は無いのだが。思わぬ事実に突き当たり、そこを掘り下げていく取材信念にも、相変わらず感心させられた。

ただ如何せん、本書に掲載された文章は、過去のそれと比べて明らかに粗雑だった。“封印作品”シリーズの魅力のひとつに、そのハラハラドキドキの緊迫感を伝えてくれる重厚な文章があると思うのだが、今回はその文章が、あまり宜しくなかった。

本書に収録された記事は、元々雑誌に掲載された文章に加筆修正が加えられているとのこと。どうやら、安藤氏の文章はあまり連載に向いていないようだ。事実、雑誌で一回こっきりの掲載となった『みずの版「ハルヒ」』についての章は、一部に編集ミスの様な文章は見られるものの、非常に完成度の高い記事に仕上がっていた。

今回、最も衝撃を受けた記事も『みずの版「ハルヒ」』を取り上げたものだった。以前に雑誌に掲載された記事に、更に加えられた追加取材が、とにかく度肝を抜くような内容だったためである。アニメ版ハルヒを監督した山本寛氏が、どうして『らき☆すた』で即座に降板させられ、更に京アニを辞職することになったのか。その衝撃の事実が、ここに。

そんなこんなで、今回も楽しく読ませていただいたのだが、こうなると気になってくるのが次回作の予定だ。「封印三部作」と銘打っているように、“封印作品”シリーズはこれで完結してしまうのか。それとも、新たなる封印作品を求めて、再び流浪の旅を続けるのか。恐らく著者自身にも分かっていない、これからの“封印作品”。その動向を、ドラえもん言うところの「あたたかーい目」で見守っていきたいと思う。ぬるー。
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プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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