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『天才バカボン THE BEST 小学館版』

天才バカボン傑作集 (少年サンデーコミックススペシャル)天才バカボン傑作集 (少年サンデーコミックススペシャル)
(2007/10/17)
赤塚 不二夫

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 前回までのお話。NHKで放送された、赤塚不二夫のドキュメンタリー特番『赤塚不二夫なのだ!!』に感動した男は、朝河蘭のアダルトビデオよりも赤塚不二夫のマンガを読みたくなって仕方なくなってしまう病“なのだ病”を元に“バカ熱”を起こし、最寄の書店で『天才バカボン THE BEST 講談社版』を購入。そのクロニクル的な内容に強い感動を覚え、すぐさま『天才バカボン THE BEST 小学館版』を購入。すぐさま読書に取り掛かったのだが……。

 舐めていた、と言うべきなのだろうか。講談社版に収載されていた作品だけを読み、勝手に『天才バカボン』を理解したと思っていた自分の愚かさを恨まざるを得なかった。講談社版に収載されている作品の多くは、名物キャラクターが初登場した回であることは前回の感想で書いた。それは記録を残すという意味で、非常に有効な方法であったといえるだろう。しかし、小学館版は、そんな記録保存の意識など毛頭無く、ただ、ひたすらに、『天才バカボン』が匂わす“狂気”を追求した内容になっていたのである。

 小学館版に収載されている『天才バカボン』の、どの辺りが狂気的だといえるのか。ゲストキャラクターの偏執的な性格、ストーリーの超がつくほど強引な展開など、『天才バカボン』には狂気的な要素が多く含まれているが、なかでもバカボンのパパの言動が秘めた狂気は、なかなかに目を見張るものがあった。

 例えば、次の様なやりとりがある。

 海岸にて。
パパ「(カニを指差して)あっ!! なんだこれは?」
友人「あっ、それはトコ屋さんだ!!」
パパ「いやトコ屋さんというかんじじゃないな。むしろカニというかんじだな」
友人「おまえがそういうんならカニと名づけよう!!」
パパ「この人アワを出してるけど、どうしてなのだ!?」
友人「おまえもうわすれたのか!? バカ田大学でカニの主食はセッケンだとならったじゃないか!!」
パパ「(赤面になって)わざと知らないふりをしてみたのだ……」

(「カニさんのおフロなのだ」より)


 実にバカバカしいやりとりだが、ここに『天才バカボン』ならではの狂気が見られることにお気づきだろうか。実は、このやりとりは一般の常識とは違う世界の常識の中で生活している二人によって、行われているのだ。最後にパパが赤面するところに注目していただきたい。これがフツーのギャグマンガであれば、最後までパパはバカを装い続けるはずだ。しかし、ここでパパは友人のツッコミに対して赤面し、自らの間違った発言を誤魔化した一言を漏らす。これこそ、パパが単なるバカではない、いわば異世界の住人であるという証明になっていると言えるのだ。

 更にややこしいことに、バカボンのパパは自らのバカな行いを、サラリと「わざとやった」と言ってしまうことがある。そのため、読者を含めた周囲の人間たちは、パパの言動にひたすら惑わされる。結果、パパは誰にも理解されることのない、まったく掴みどころのないキャラクターとして、作品内で踊り続けるのである。

 最後に余談だが、当時の赤塚不二夫は「馬鹿にしか見えないことがある。馬鹿にしか言えない信実がある」をモットーに、担当編集者を立派な馬鹿にするための教育を行っていたらしい。そのモットーのため、赤塚を担当していた小学館の武居氏はひたすらに傍若無人であり続けていたらしい。……まさか、小学館の編集者問題の発端を作ったのって……。
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速い

 僕もバカボンは少しだけ読んで、今は止まっちゃってますが、スゴイですよね。

 縦横無尽な大ギャグはもちろんですが、普通のところもスゴイ。

 とにかく”速い”。

 上で挙げられている部分でも感じるのですが、ひとつの文章が非常に刈りこまれて、少ない拍数でズドン、ズドンと伝えてくる。

 さらにその文章のやりとりでも、セリフ2,3個あったらひとつ笑いがあるんじゃないか、というくらい笑いのペースも速い。

 ちなみに挙げられている部分と同じ系統のギャグは橘家円蔵がやる小噺にも見られます。


「オマエ字が書けネェって言うけど手紙書いてるな」
「いいんだよ、向こうが読めねぇから」


「板欲しいんです」
「どんな板?」
「幅一尺、縦九尺の板欲しいんです」
「幅九尺、縦一尺の板しかないよ」
「いいです、それ横に持って帰りますから。」

 円蔵はこの手のナンセンスが面白い。

 もちろんバカボンでの応酬はこれらをはるかに超えてゆきます。

 ところで挙げられている例みたいなのは、うまく表現できたら、コントや映画でも見てみたいな。

ああ、確かに! あの速度は異常!
ポンポン切り替わっていきますよね。
しかも、それが強引じゃなく、流れる様に切り替わる。
自然にオカシイ展開を作れる物凄さ。感動しますね。

>円蔵師
ちょっと興味出てきました。

>コントや映画で
無軌道さをどれだけ上手く表現できるかがカギになりそうです。
テンポで見せる技術力も必要になってきますし。なかなか難しそうです。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
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https://twitter.com/Sugaya03

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