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おぎやはぎの侵略

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(2004/12/01)
おぎやはぎ

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「小木です」「矢作です」「「おぎやはぎですけど何か?」」。おぎやはぎについて考える場合、まず頭に浮かんでくるのが、この自己紹介。二人が漫才を始めるときに、必ず口にしているフレーズだ。ただ、昔はこの言葉を使わずに、漫才をすることもあった。むしろ、おぎやはぎという名前が一般層に広がり始めた頃から、彼らはこのフレーズを口にするようになった印象がある。まあ、気がするだけなので、実際がどうかは知らないけれど。

このフレーズが最初に思い出されるということは、イコール、おぎやはぎといえば漫才というイメージがある、という事実を意味する。実際のところ、彼らがテレビでネタを披露する時は、必ず漫才を選択している。小道具の必要が無いし、コントの様に脚本を重視しなくても成立する漫才は、彼らにとって手軽で便利な手段だということなのかもしれない。或いは、おぎやはぎには漫才が求められているというようなことを、自覚しているのかもしれない。まあ、真実は彼らの胸の中にしかないのだけれど。

おぎやはぎの名前を全国的に広めるキッカケを作ったのも、漫才だった。2001年の暮れに、日本一の漫才師を決定する一大トーナメント“M-1グランプリ2001”の決勝戦に、彼らは見事に進出を果たしたのである。おぎやはぎは関東勢で唯一の決勝進出コンビであったため、それだけでも存在感をアピールできていた。ところが、決勝当日になって、更に彼らの名前を印象付ける事件が起こってしまう。

当時、M-1グランプリはベテランの芸人たちによる審査だけではなく、札幌・大阪・福岡在住の一般客による投票も行っており、その合計点が評価の対象となっていた。そんな審査システムにおいて、おぎやはぎの漫才が叩き出した点数は540点。ブービーだったDonDokoDonが614点だったことを考慮すると、その点数は圧倒的に低い。しかし、我々に強烈なインパクトを与えたのは、その合計点自体ではなかった。各地一般投票は、100人の観客によって行われた。つまり、100点満点による審査だったのである。ところがおぎやはぎは、この投票で9点(大阪)という度肝を抜く点数を叩き出してしまったのだ。

この一般投票システムは他にも、アメリカザリガニ・ますだおかだの松竹芸能コンビに対して明らかに低い点数をつけていたこと、逆に大阪吉本の芸人に対して甘い点数をつけていたことが問題となったが、この9点という結果ほどの印象を残すものでは無かった。それほどに、この9点という点数は強烈で、インパクトのあるものだったのである。しかし、このことは決して、おぎやはぎにとってマイナスにはならなかった。何故なら翌年、大会運営側はこの結果を問題視し、一般投票システムを廃止したためである(大会中に松本人志が一般審査員に苦言を呈したことも、この廃止に関係しているのではないかと思われる)。その結果、おぎやはぎは初期M-1の未完成なシステムに踊らされてしまった漫才師として、多くの層にその名前を知られることになったのである。まったく、運が良い。

とはいえ、運が良いだけではメジャーになれない。そもそも、彼らには注目されるための素質があったのだ。おぎやはぎが他の若手芸人に比べ、明らかに異質だった。特にその異質さが表れていたのが、彼らの雛壇に座したときの態度だ。通常、若手芸人が雛壇に座ったとき、その多くは大きな声を上げてリアクションを取ったり、野次を飛ばしたりするものだ。そうして、自己の存在をアピールするためである。しかし、おぎやはぎはそれをやらなかった。立つべき場所では立たなかったし、声を上げるべき時でも物静かに構えていた。結果、彼らは他の若手芸人とは違い、一歩引いた立場を維持するというスタンスで注目を浴びた。柔良く剛を制すとは、まさにこのこと。矢作がちょっとしたトークをこなせたのも、大きかったかもしれない。

こうして振り返ってみると、おぎやはぎというコンビの残した功績は、我々が考えているよりも大きいと言える。まず彼らは、爆笑問題の出現以降、滞っていた関東系漫才に新しいスタイルを提示することで、その後の漫才史に大きな影響を及ぼした。また、バラエティ番組における若手芸人のありかたについても一石を投じた。そしてなにより、彼らは“若手芸人”という言葉の持つイメージを破壊することで、様々な後続の芸人たちに光を当てやすい状況を生み出した。いわばおぎやはぎは、それまでの笑いの常識に大きな鉄槌を落としたのである。それなのに、彼らがそんな改革を起こしてきただなんて、今では殆どの人が意識していない。それこそが、おぎやはぎの最も恐るべき要素でもあるのだが……考える時間が無くなってきたので、今回はこの辺でネタを下げさせていただきます。
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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