『僕秩プレミアム!』(ヨシナガ)
![]() | 僕秩プレミアム! (アフタヌーン新書 004) (2009/04/09) ヨシナガ 商品詳細を見る |
前回、『オタク成金』を読了した僕には、もはやアフタヌーン新書に対する嫌悪感はゼロに等しかった。面白ければ、どのような媒体であっても面白い。そんな当たり前のことを、再認識したのである。
と、いうわけで、続けざまにアフタヌーン新書に手を出してみることにした。タイトルは『僕秩プレミアム!』。僕は当初、この本のタイトルを「僕“鉄”プレミアム!」と勘違いしていた。うーん。つまり、鉄オタの本だと思っていたのである。そこそこ興味はあるのだけれど、鉄道には詳しくないからなあ。『阿房列車』は読んでるけど、何処そこの路線がどうこうとかいうのは、ちょっと分からないなあ……とか、思っていたのである。ああ、勘違い。
『僕秩プレミアム!』とは、人気WEBサイト「僕の見た秩序。」を運営しているヨシナガ氏が、会員限定サイトなどで特別公開してきたエッセイを厳選し、収録した本……だ、そうだ。うーん。知らん。我が家にネットが開通して、早九年。そこそこにインターネットを放浪したつもりだったが、このサイトのことはまったく知らなかった。まったく、ネットは広大ですたい(意味無く訛り)。
肝心の内容に目を通して見ると、なかなかこれが面白い。日常の中で、なんとなく見逃してしまいがちな事象が、色々と書かれている。こういうのって、なんだか良いよなあ。当たり前の日常が、ちょっとだけ楽しくなっていくって感じ。中でもキョーレツだったのが、以下のくだり。
口に指を入れ、左右に開き「学級文庫」と発言すると「学級うんこ」に聞こえるという遊びもあった。
あれもこう言えば、口に手を入れる必要はなかっただろう。
ヨシナガ:
「学級うんこって言いなよ」
なんというか、笑いのイベントだったはずが、すでに狂気を帯びていると言ってもいい。もはや怖いだけだ。
キョーレツはキョーレツでも、爆笑という意味でキョーレツだったくだり。いやー、もうね。なんかツボに入っちゃった。なんだよ、「学級うんこって言いなよ」って。どんだけストレートに相手を貶めようとしてるんだよ。というか、自分で言ったら意味ねーだろ!
ちなみに、このくだりの後にオチがあるんだけれど、このオチがまた凄い。
ということで、
効率のみを追求すると人間性を失い、結果的に破滅に向かっていく
という現代型資本主義社会への警鐘でした。
(まさかの結論)
なんというオチ! なんという視点!
と、お笑いバカな僕は、どうしてもこういうネタ的(?)なエッセイに目が行ってしまいがちなのだけれど、ちゃんとマジメな話も入っていたりする。どういう話が入っているのかを書くのは、面倒臭いので書かないけれど。個人的には、「携帯盗み見防御策」「歴史に残るために」「僕と虹」に、深い感心を覚えた。こういう視点を持てる人って、正直言って羨ましい。どういう人生を送っていたら、こういう視界を持てるんだろうなあ。ああ、ヨシナガ氏の頭の中に入ってみたい……って、『マルコヴィッチの穴』かよ!
サイトに上げられたエッセイを書籍化しているということもあり、一つ一つのテキストがとても短く、改行もやたらと多いため、読みやすさという意味では、非常に良作だったと思う。ただ、本を読んだ後にやってくる読後感というか、文章を読み終えた後の満足感が足りないのが、少し残念。読み込むという意味では、これと同じ傾向の『毎月新聞』(佐藤雅彦)の方が面白かったかもしんない。でも、退屈しのぎにはバッチリ適していると思うので、お金に余裕がある人は買ってみても良いかもネ。
……続刊は出ないのかな(何気に期待)。








