FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

あの日、ロックンロールヒーローは

忌野清志郎、ガン再発のため夏フェス全キャンセル(ナタリー)
 癌。現在、世界中のおよそ一割の人間を死に至らしめているこの病は、決して非日常的なものではない。しかし、我々は日常の中でその病に直面することは無い、というように勝手に思い込んでいる。少なくとも、自分がそういう病になることはないだろう、と。そして、我々はまるで平和ボケした人間が「我が国が戦争に巻き込まれることは二度とない」と空想を広げるように、自らが信頼している人間や、尊敬している人間、愛する人間に対しても、同様のことが言えると信じている。だから、その理由無き信用が破壊された瞬間、人は言葉に出来ない絶望に陥る。

 2006年7月、忌野清志郎ことキヨシローが喉頭癌であることを告白したその日、僕はまさに絶望を見た。絶望的な状況を表すために「目の前が真っ暗になる」という表現が用いられることがあるが、そこまでのものは感じなかった。ただその日は、目の前が灰色に染まっていて、なんだか井上陽水の『傘がない』の世界に迷い込んでしまったような、そんな気分だった。

 やがて年は明け、2007年の2月。キヨシローは、自身の身体が確実に回復に向かっていることを、竹中直人がDJを務めるラジオ番組『竹中直人ハードボイルド・ソーセージ』の中で語った。同年12月、キヨシローはジョン・レノン スーパーライブに出演。ファンにその姿を見せた。そして、翌年の2008年2月。自らの復活をファンに宣言したライブ『完全復活祭』が開催された。これでもう、キヨシローは文字通り完全に復活した。そんなことを、僕は能天気に思っていた。

 ところが、再び僕の目前には暗雲が立ち込めてきた。キヨシローの身体を蝕んでいた癌が、転移していたのだ。自らを「KING」、更に「GOD」と呼んでいたから、神様に嫉妬されたのかもしれない。そんなファンタジーな想像が、頭の中をぐるぐると回転した。今度は『傘がない』じゃない。RCサクセションの名曲、『ヒッピーに捧ぐ』だ。既に亡くなった人物に向けたこの歌が頭に浮かんでくるほど、僕は絶望していたのだ。

 現在、キヨシローは前向きに治療に専念しているそうだ。公式サイトには、「すぐに帰ってくるから応援してくれ!」と書かれた直筆のメッセージが掲載されている。そうだ。その通りだ。我々のキヨシローは、まだ死んじゃいないんだ。彼がロックンロールを欲する限り、彼は何度でも蘇る。結局、確証の無い希望ではあるが、それでも信じるしかない。あのロックンロールヒーローが蘇る日が来ることを。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

連絡用メールアドレス
loxonin1000mg@yahoo.co.jp

Twitterアカウント
https://twitter.com/Sugaya03

検索フォーム
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。