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『ナンシー関リターンズ』

ナンシー関 リターンズ Nancy Seki Returnsナンシー関 リターンズ Nancy Seki Returns
(2009/06/13)
ナンシー関

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事前に面白いと分かっている本を読むという行為が、あまり好きではない。何故なのかというと、既に面白いと分かっている本を読んで、「面白かった」だとか、「参考になった」だとか思ってしまうのは、なんだか本を出した人(出版社であれ著者であれ)に“してやられた”ような気持ちになってしまうからだ。

勿論、出している側というのは、少なからず読者を“してやられた”と感じさせるようなものを生み出していきたいという意向を持って本を出版しているのだから、どのような本を読んだところで“してやられた”と感じたとしても、それは当然のことと受け入れるべきなのだろう。ただ、僕が考えている“してやられた”と、出版社が出そうとしている“してやられた”は、少しばかり違っている。僕があまり好きではないと思うのは、その“してやられた”と思わせられるだろうと感じさせている本を購読して、まんまと“してやられた”気持ちになってしまう自分が好きではないのだ。例えるなら、あからさまに罠だと分かっている場所に足を突っ込んで、罠にかかって「罠だったのか!」とのたまっているように感じるのである。なんだか間抜けっぽいイメージだ。

そのために、僕はメジャーな作品をあまり好まない。嫌いというわけではないが、あまり積極的に読むことはない。読んでみたら、面白いのかもしれない。いや、きっと面白いのだろう。あれだけテレビやネットで話題になっている作品だ。個人的な嗜好と合わなかったとしても、何かしら感じることは出来るだろう。でも、買わない。読まない。見ない。いや。厳密に言うと、買おうと思わない、読もうと思わない、見ようと思わない。家族の誰かが買ってきたとしても、興味が湧かなければ読まない。僕はこれまで、そういうスタンスで生きてきたのである。

ナンシー関もまた、僕にはとてもメジャーな存在だった。テレビ番組評論と言えば、兎にも角にもナンシー関。インターネット上で見られるテレビ評論系ブログの多くは、ナンシーの文体を模倣しているし、そうでなかったとしても、ナンシーの存在を少なからず意識している。世間一般での知名度はそれほどではないのかもしれないが、テレビ番組評論家としてのナンシーは、間違いなくメジャーだったのである。

そんなナンシーが新刊を発売した。知っている人は知っているだろうが、ナンシー関は2002年にお亡くなりになられている。つまり、これは既に亡くなった人が書いていた文章を、新刊として売り出した本なのである。その出版背景に何があったのかは知らないが、どうも死人の財産で儲けようという魂胆を感じさせる一品だ。メジャーな作品に“してやられた”と思わせられるのも好きではないが、出版社が儲けの精神をあからさまに剥き出している作品も、それほど好きではない。以上二点の理由により、この新刊本はスルー……するつもりだったのだが、うっかり立ち読みをしてしまったところ、これがうっかり面白かったものだから、うっかり持ち合わせもそこそこにあったもので、うっかりレジに持っていってしまい、うっかり精算を済ませ、うっかりじっくり読み始めてしまったのである。そしてやはり、まんまと“してやられた”のであった。ああ、情けなや。

立ち読みの際に僕が心を惹かれたのは、本の最初に掲載されていた『「彫っていく私」ナンシー関自伝』というエッセイだった。名目上はエッセイということにしているが、そこに綴られている内容は何から何まで嘘である。嘘も嘘、嘘八百とはこのテキストのことだって言っても良いくらいに嘘ばっかである。その嘘つきっぷりは、本文の導入から突き抜けている。

昭和37年夏、私はオホーツク海に浮かぶ離島に生まれました。父はプエルトリコ系の中国人、母は三代続いた生粋の江戸っ子。東京は築地の魚河岸で出会った2人は互いにひかれ合い、周囲の反対を押し切って、北へ北へと逃げたのです。


ちなみに、この本の巻末に掲載されているナンシー関のプロフィールには、「ナンシー関は青森県青森市でガラス店を営む日本人の両親のもとに生まれる。」とある。どっちが事実なのかは、確かめるまでもない。どうしてナンシーがこの様な嘘自伝を書いたのかについて、本書では一切触れられていない。ただ、この嘘自伝が文章として面白いということだけは、確かである。かなり面白かったので、誰か実写化してくれ。三木聡あたり、しっくり来そうな気がするのだが。

この次に掲載されているのは、『ナンシー関の消しゴム偉人伝』というコラム集である。タイトルの通り、ナンシーが歴史上の人物について綴っているコラムである。その第一回連載に登場するのが「プレイボーイのバイトくん」(雑誌のプレイボーイのことである。そういう類いの性質を持ったアルバイターのことではない)というのが、なんとも捻くれている。が、それ以後の連載は、ちゃんと偉人・有名人を取り上げている。ちなみに、第一回の連載でバイトくんが取り上げられた理由だが、

とてもえらいし、皆さん素直で真面目な高青年だ。問題は私の自宅のインターホンだ。呼び鈴が鳴り、私がインターホンに出ると、彼らは「プレイボーイです」と一言名乗る。岡田真澄だって開口一番、そんな挨拶はしないだろう。やはり偉人である。


ちゃんと芸能ネタにも触れているあたりが、実にナンシーである。

これ以降のコラムは、全てテレビ・芸能系のものだ。それらについて紹介するのも良いが、今でも世間的には「ナンシー関=テレビ評論」というイメージが定着しているだろうから、あえてそのイメージを再確認する必要もないだろう。それに、テレビ評論の部分については、既に「はてなでテレビの土踏まず」さんがレビュー済だ。僕があえてテレビ評論部分について書いたところで、二番煎じ、柳の下のドジョウ、コロリ転げた木の根っこというものである。ちょっと意味が違うか。

ちなみに、今回の記事は土踏まず氏のブログにトラックバックしているのだが、果たして届いているのだろうか。というのも以前、田中裕二(爆笑問題)が書いた本について触れた記事で、氏のブログにトラックバックを送ったのだが、まるで反映される気配がないのだ。嫌われているか、どちらかのブログの機能に不備が生じているということだろう。出来れば後者であってもらいたいものだが、前者の可能性も無きにしも非ず。思い当たる節も、無きにしも非ず。困ったもんだ。

とにかくここで感想文を終わらせようと思うのだが、このまま終わってしまっては締まりが悪いと思うので、個人的にちょっと今の時期にタイミングが良いと思ったコラムを紹介して、この感想文を終わらせたいと思う。そのコラムとは、琴錦の女性問題について触れられたものである。と、ここで引用しようと思ったのだが、そのコラムが非常に長くて引用が面倒くさいので、やめることにする。……ダメか。無責任か。いや、そうは言ってもね、本の内容をブログの記事に引用したり抜粋したりするのは、並大抵のことでは出来ないのである。本当に面倒くさいのである。2ちゃんねるコピペブログとはワケが違うのである。ワケが。あっちはコピーアンドペーストで済むが、こっちは全文打ち込まなくちゃならない。なので、最後の部分のみを引用することにする。結局するのかよ。

お相撲さん以外の「拝まれる存在」を、私は昭和天皇ぐらいしか知らない。拝まれるということは、我々には想像もつかない難行であることだろう。その難行を強いておきながら「埼玉のA子さんはどうするんですか」はバチが当たるぞ。いいじゃないかそんなこと、お相撲さんなんだからさ。


このコラムを読んでいて、僕は即座に先日の朝青龍についてのバッシング記事を思い出した。知らない人のために説明すると、朝青龍が朝稽古を休んでオールナイトニッポンの収録に参加し、更にファンタの新コマーシャルの撮影に臨んだことが、一部報道で叩かれているのである。実に下らない。下らないが、こういう記事をまともに受け取り、怒りを露わにするような人もいるのが現実だ。そこで、このコラムである。このコラムで書かれていることは、事の重大さの差こそあるものの、現在の朝青龍に通じる部分も少なくない。相撲取りなんだから、いいじゃない。それで、いいのだ。

……これで締まりが良くなったかどうかは、知らぬ存ぜぬの方向で。どーかひとつ。
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どもども

コメント欄ではお初でしょうか。今回トラバ届いてますよ~。当サイトではスパムブログからのトラバを根絶するために承認制を取っているので、ぜんぶの被リンク先に目を通してから承認or削除を決めているのですが、「ザ・ガール」のときはたしか何も動きが見当たらなかったです。万が一まちがって削除していたら単なるうっかりさんということで許してください。

ドモドモ

これはこれは、わざわざ御足労おかけさせまして。お気になさらなくても…って、明らかに本文で返事待ってる感を剥き出しにしていますが。さて、トラバの件ですが、恐らく飛んでいなかったのではないかと思われます。というのも、本文では触れておりませんが、あの記事では土踏まずさんとは別にもう一か所に対してトラバを飛ばしており、そちらのブログさんでも反映されていなかったので。二回も飛ばしたんですけどねえ…何故なのでしょうか。不思議、不思議。なので、どうか下げた頭をお上げください。…時代劇っぽい言い回しだ!

今後とも、どうぞ宜しくです。
プロフィール

菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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loxonin1000mg@yahoo.co.jp

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