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思い立ったらすぐ発言

友近率いる大阪のアホな人たちが集結して、ただひたすら「思いついたコトすぐ言いたい」トークを繰り広げていた、先日の『アメトーーク』。放送後の評価は賛否両論といったところだが、これだけ話題として盛り上がった時点で、この企画は成功していると言えるだろう。ちなみに、個人的にはこの企画は「当たり」だった。メチャクチャに笑ったというわけではないが、それなりにテンポ良く飛び出してくる下らないワードの応酬が、なんだか漫才の様で楽しかったのである。

ところで、この企画のタイトルは“思いついたコトすぐ言いたい芸人”となっているが、厳密に言うとこれは正しくない。正しくは“他人の言葉尻をきっかけに思い浮かんだ言葉を発言する芸人”である。番組冒頭でも説明があったが、例えば誰かが「今、来たの?」というフリの言葉を提示すると、それを受けて別の誰かが「いまきた加藤!」と応え、さらに「コケコッコー鹿島!」「どすこいブラザーズ!」「メロリンQ」「MCハマーの前で勝手な踊りをするメロリンQ」と、一つの言葉をきっかけに、次々と類似した(もしくは類似しているように見える)言葉が飛び出していく。これが、今回の企画の趣旨である。

この番組でのやりとりを見ていて、ふと思い出したのがシティボーイズのコント『会話の訓練』。上手く会話の出来ない人たちが集められて、会話の技術を向上させていく様子を描いたコントだが、なんとなくこのコントの空気が似ているような、そんな気がしたのである。ただ、実際に鑑賞してみると、それほど似てなかった。まあ、一方的に適当な言葉を発している面々と、それを抑えようとする雨上がり決死隊の構図は、『会話の訓練』における面々ときたろうの関係性に似ているような気がしたのだろう。たぶん。

でも、この言葉のやりとりを、僕は何処かで見たような気がした。なんだったかなあ、どうだったかなあ……と、頭を捻りながら番組を見ていたのだが、ふとした瞬間、その何処かを急速に思い出した。そうだ、これはコントではなく、漫画で見たんだった。急いで本棚を漁り、くだんの漫画を開いてみる。すると、そこには『アメトーーク』で面々が繰り広げていた言葉の応酬が、まさに漫画で表現されていたのである。厳格な口調だけど、大したこと言ってないな。

その漫画とは、唐沢なをきの『刑事くん』である。1987年に月刊少年キャプテンに掲載された作品で、後に作品集『八戒の大冒険 2002 REMIX』(エンターブレイン)に収録されたが、現在は在庫切れとなっている。どうでもいいけど、ちょっと前にNHKの某番組がどーのこーのと言われていたのが、この人である。あと、怪しい帽子を被ったトリビア男、唐沢俊一の弟さんでもある。本当、どうでもいい。すぐ忘れてもいい。

では、今回の「思いついたコトすぐ言いたい芸人」と、唐沢なをきの『刑事くん』が、どのくらい似ているのか。まずは、簡単な粗筋を紹介したいと思う。短いので、改行せずに書く。【某所にて女性の遺体が発見された。捜査一係の五人の刑事は早速、新人の山田刑事とともに捜査に乗り出す。そして犯人を突き止め、無事に逮捕し、彼らは事件解決のお祝いの宴を始めるのであった】。話の流れだけを見ると、実に平凡である。が、実際に見てみると、これが凄いことになっているのだ。以下、冒頭での死体発見のやりとりを書き起こしてみた。

「これが見つかった死体か」
 「青年よシタイをいだけ」
「凶器はなんだ?」
 「どうか私に凶器一票を」
「この石に血痕がついてます」
 「私と血痕してくださいっ」
 「血痕毛だらけ猫灰だらけ」
「おそらくこれで後頭部を…後頭部深川」
「これじゃ即死でしょう」
 「おや君と僕とはソックシですね」
 「ただしまソクシ(食事)中」
「死亡時刻はいつごろだ?」
 「学校にジコクしちゃうよう」
 「そんなこといってるとジコクにおちるぞ」
 「ジコク松山」


……とまあ、こういうやりとりが延々と続くのだが、どうだろうか。なんとなく、「思いついたコトすぐ言いたい芸人」のノリが感じられないだろうか。全編、流れを止めてしまうようなツッコミが入らないところや、一つ一つの言葉遊びが下らなさすぎるところなども、非常に似ているように思うのだが。似ていないと思う人も、いるかもしれない。それはそれで、また真理だ。でも、僕は似てると思う。うん。僕が似ていると言えば、似ているのである。我儘。

そんな「思いついたコトすぐ言いたい芸人」と『刑事くん』が、唯一似ていない点。それは、オチだ。「思いついたコトすぐ言いたい芸人」のオチは、企画を客観的に見続けてきた蛍原が「思いついたコトすぐ言いたい芸人」に呆れて立ち去り、残された「思いついたコトすぐ言いたい芸人」たちが、その「思いついたコトすぐ言いたい芸人」ぶりを発揮し続けるというものだった。一方、『刑事くん』のオチはというと、五人の刑事のノリに参加したがっている山田刑事が、最後の最後でどうにか乗っかろうとして、かなり白けた空気になってしまう……というもの。

オチに第三者的なポジションの人を持ってくるという意味では、両者のオチは似通っている。ただ、前者のオチはボケの集団に呆れて突き放し、後者のオチはボケの集団に迎合しようとしてドツボに陥いっている。この差は大きい。前者のオチは、話についていけなかった視聴者の気持ちを汲んだオチだ。今回のあまりにも挑戦的な企画を受け入れられなかった人を、決して放置しないための処置が施されている。一方、後者は「五人の中に入りたい」という意識があるということが前提になっている人物が、結局輪に入れなかったというオチになっている。この辺の違いに、テレビという媒体と漫画という媒体の違いが浮き彫りになっている……とかなんとか、そういうオチにでもしておこう。うん。何も考えずに書き始めたので、オチを考えていなかったのである。うん。まあ、そういうこともあるさ。うん。

最後に余談だけれど、今回の「思いついたコトすぐ言いたい芸人」という企画、いっそのこと雨上がり決死隊の二人ともが参加して、ツッコミ役を別に用意しておいた方が良かったんじゃないかという気もする。というのも、最後の蛍ちゃんの激昂が、なんだか普段の『アメトーーク』における蛍ちゃんとはまったく違って見えたから。ブラックマヨネーズの小杉とか、タカアンドトシのトシとか、その辺りの技量あるツッコミ師に任せていた方が面白かったのでは……って、それじゃ『アメトーーク』にならないか。うーん……難しいところだなあ。
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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