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『淀川長治の映画人生』(岡田喜一郎)

淀川長治の映画人生 (中公新書ラクレ 280)淀川長治の映画人生 (中公新書ラクレ 280)
(2008/06)
岡田 喜一郎

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 太くて長い人生を送りたいなあ、と思うことがある。他人には真似が出来ないような唯一無二の人生を送りたい、と。しかし、そんな人生を送るためには、覚悟を持たなくてはならない。何かしらの物事に人生を捧げるほどの、強い覚悟を。

 その人物は、映画に人生を捧げた。過剰表現ではない。小学生の時点で既に映画館を当然の様に出入りし、中学生の時には映画を生徒たちに指導する立場となった。そして彼は、十六歳には映画に人生を捧げることを決意した。その決意は、彼が八十九歳で亡くなるまで貫かれた。

 彼の名前は、淀川長治。『日曜洋画劇場』で何十年もの間、「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」と言い続けてきた男である。本書『淀川長治の映画人生』は、そんな男が歩んできた映画人生を、氏が生前時に親しくしていたというドキュメンタリー映画監督、岡田喜一郎がまとめた伝記だ。ただ、本書には伝記と言えるほどの情報が入っていなかったように思う。
 確かに、淀川氏の知られざる人生について、本書にはそれなりの情報が込められてはいた。母親が活動写真を観ていた頃に産気づいて誕生したこと、父親を憎み続けていたこと、様々な映画スターと対面したこと……その人生は輝かしいの一言だ。

 しかし、実は本書において、それらについての文章は多くない。一方で、著者である岡田氏が実際に目にした・耳にした淀川氏の言動に触れている文章は、比較的多い。だから、本書は“淀川氏の伝記”というよりも、“淀川氏の人生論”と言えるのかもしれない。ただ、その人生論を選抜し、尚且つ結論付けているのは岡田氏なので、一概に人生論とも言えないか。

 個人的には、とりあえず各エピソードを楽しめば良いかな、といったところ。このエピソードだけで、一冊の本が出来そうだ……って、それが本書なのだけれども。「年寄りは偉そうにせずに、素直に若者に甘えたほうが良い」という話は、なかなか興味深かったな。

 ただ、それらのエピソードの後に、いちいち岡田氏が結論付けるんだなあ。これが限りなく鬱陶しい。いや、それ自体は別に良いのだ。淀川氏の言動が意味するところを解説してくれているのは、勘の鈍い僕としては実に有り難かった。でも、それがエピソード毎に出てくるとなると……やはり、鬱陶しい。年寄りの説教を定期的に聞かされるような、そんな感じだ。

 それさえ除けば、とても面白い本だったと思う。うーん。
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菅家しのぶ

Author:菅家しのぶ
お笑いDVDコレクター。2014年5月からコンテンツリーグ発行のフリーペーパー『SHOW COM(ショーコン)』で名盤DVDレビュー「神宮前四丁目視聴覚室」を連載中。

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