『爆笑オンエアバトル』視聴者投票一位バトル感想文
・スーパーマラドーナ『漫才:エレベーターでの気まずい瞬間』
同じマンションの人と偶然エレベーターで乗り合わせたときの、あの気まずい瞬間を乗り切るための方法を思案する漫才。同じようなシチュエーションを何度も繰り返すスタイルのネタだが、途中で役割を交代したり、犬が乗り合わせてくるというありえない状況にしたり、飽きない構成にしていたところは好感が持てる、が、それも含めて、あまりにオーソドックスすぎた。ある意味、一番手としての役目を果たしたといえるが、やや物足りず。
・響『漫才:同窓会』
同窓会に呼ばれたときの予行練習をする漫才。同窓会に参加しているクラスのマドンナ“ミツコ”を押し出したキャラクターネタだが、同時に“響”というコンビの現状を客観的に取り入れたネタでもある。「あの人(長友)はピン芸人」という自虐的なボケには笑ったが、どうもこういう設定は「芸人としての現状を客観的に理解していますよ」と表明されているようで、あまり好きではない。それはともかくとして、最後の最後に放たれた、響のギャグ「どうもすいませんでしたっ」が、モノの見事にスベったのには驚いた。言うタイミングは完璧だったと思うのだが……消費されているが故の悲劇と考えるべきか。
・ダブルブッキング『コント:本題とは違うところが気になる話』
立ち話をしているサラリーマン二人のうち、一人(川元さん)の繰り出す話の節々に、気になってしまう要素があって落ち着いて聞いていられない……というコント。近年、ダブルブッキングがイチオシにしているネタで、今年度もこのスタイルで視聴者投票一位を獲得した。一応、コントとしての体裁を保っているため、ところどころコントの礎となる話題が挟み込まれていたが、正直言ってそれらは邪魔でしかなく、ただ純粋に漫才として披露した方が良かったのではないかと思う。途中で役割を交代するという飽きさせない演出も取っていたが、そもそもの地盤となるべき前半部分がイマイチだったために、あまり効果を発揮せず。ただ、「うまく流れを掴めていれば、きっと大爆笑が起きていたんだろうなあ……」と思える箇所もあった。もうちょっと場の空気が違っていれば、大爆発していたのかもしれない。
・アルコ&ピース『コント:自殺の説得』
コントに使われるシチュエーションの定番中の定番、自殺をしようとする人とそれを説得しようとする人のコント。今回は、説得しようとする人が、上手い説得の言葉を吐き出すことが出来ずに、ネガティブな言葉を漏らし続けた結果、逆に自殺しようとしている人に励まされるという展開。あるまったく違った状況下にある二人が、話をしているうちに、その立場が入れ替わってしまうというのは、これまたコントに使われがちなトリックの一つ。つまり、このコントは、コントというジャンルでは定番とされているシチュエーションを、やはりコントというジャンルでは定番とされているトリックを使って、成立させているのである。それでも、このコントがそれなりに面白いのは、二人の演技力と構成力によるものなのだろうが……それだけでは、物足りない。
・アームストロング『漫才:ビールかけ』
野球の優勝でやるビールかけをやってみたい。スーパーマラドーナの漫才と同様に、同じようなシチュエーションを何度も繰り返すスタイルのネタだが、そのネタとネタの間のやりとりを展開させることで、やはり飽きないようにしている(勿論、ネタの内容もちょっとずつ変えている)。そういう展開の仕方は他のコンビがやっていない独創的なものなので、それなりに評価は出来る。が、それはつまり、肝心のネタの内容がイマイチだから、保険でやっていると捉えることも出来るわけで。以前にも書いたが、このコンビは自然体の会話で展開するコントがバツグンに上手いので、そちらをどんどん伸ばしていってもらいたいのだが……漫才は漫才で、いずれ開花することもあるのだろうか。
・パンクブーブー『漫才:隣人トラブル』
黒瀬さんの家に苦情を言いに来た隣人とのトラブル対処法。お察しの通り、M-1グランプリ2009でパンクブーブーを優勝に導いた漫才である(厳密に言うと「最終決戦に導いた」だが)。ここまでのコンビとは違い、最初から最後までキッチリと枠に収まった力強い漫才コントなのだが、基本的にやりとりが平行線を辿ってしまっているため、やや無理やりに長く繋げたという印象が残る。ここはあえて長くせずに、先のスーパーマラドーナやアームストロングの様に、細切れにした方が効果的だったのではないだろうか。というか、そもそもM-1の決勝で披露した漫才を選んだこと自体、チョイスミスだったのではないか。
・ラバーガール『コント:彼女』
大水の彼女の話。ところどころに飛び出すボケや奇妙なフレーズは、確かにラバーガールのそれなのだが、基本的な本筋が不明瞭なために、ただただだらだらと会話が続いているだけだという感覚に陥る。勝ちを狙いに来たというよりは、オンエアされることを前提に、今やりたいネタをやりに来ただけという印象が残ったのだが、果たして真相や如何に。今回、ここは勝ちを狙いに行けば、普通にチャンピオン大会に臨める位置にいただけに、このネタのチョイスはとにかく残念だった。来年でラストくらいじゃないかと思うんだけれども……。
・マシンガンズ『漫才:Yahoo!知恵袋』
「Yahoo!知恵袋」に書かれているマシンガンズに関する質問と回答を、次から次へとボヤきまくる漫才。そもそもボヤキというのは、観客が納得できる“怒りのあるあるネタ”としての趣が強いスタイルだが、今回のマシンガンズのネタは、そのボヤキの対象を自らで探り当ててきたようなところがあり、他のネタに比べて、やや入り込みにくく感じた。構成も些か粗雑で、漫才半ばで急に肯定的な意見を取り上げ、その後すぐ再びボヤきへと移る流れはちょっとどうかと思った。こちらもパンクブーブーと同様、無理に一本にまとめてしまったような。複数の話題を一つにまとめた方が、流れがスッキリしたんじゃないだろうか。
・ブロードキャスト『漫才:お年寄りを助ける』
容体が急変したお年寄りを助ける。容体が急変したお年寄りを発見するシーンから、救急車を呼ぶシーン、病院へと搬入するシーンへと展開する漫才で、これは今回のオンエアでは唯一のスタイル。話が展開するから飽きないし、ボケのバリエーションも豊富だったし、分かりやすくて面白いネタだった。ただ序盤、ブラックなボケが幾つも放出されたため、ちょっと重たい空気を引きずってしまっていたことは否めない。「救急車から担架を下ろす→短歌を読んでいる人が降りてくる」というボケは、ベタながら笑えたが。
以下、結果。
・結果
アームストロング(449kb)
ダブルブッキング(437kb)
マシンガンズ(413kb)
パンクブーブー(409kb)
ブロードキャスト(401kb)
スーパーマラドーナ(385kb)
アルコ&ピース(329kb)
ラバーガール(301kb)
響(293kb)
実質セミファイナルないし敗者復活戦と言っても過言ではない大会でありながら、全体的に低調な結果に。アームストロングがあのネタでチャンピオン大会進出だと考えると些か疑問は残るが、今回のメンバーの中からの進出だと考えると、納得せざるを得ない。そのくらい、皆が低調だった。変に気合が入り過ぎて、明らかにネタのチョイスを間違えていたコンビも何組か。まあ、過ぎてしまったことを、今更ああだこうだと言っても仕方ない。アームストロングの活躍に、期待するばかりである。
・次回
アームストロング(2)
イワイガワ(3)
エハラマサヒロ(初)
我人祥太(初)
こりゃめでてーな(初)
THE GEESE(2)
しんのすけとシャン(初)
トータルテンボス(6)※現王者
ななめ45°(4)
ノンスモーキン(初)
ハイキングウォーキング(3)
ハライチ(初)
ランチランチ(初)
U字工事(4)
全14組が出場するという、史上最多の芸人たちによる第12回チャンピオン大会ファイナル。そのうち、初のチャンピオン大会出場者が7組と、半数を占めている。彼らが波乱を巻き起こすのか、残る大会出場経験組6組が勝ち上がるのか、或いは現チャンピオンが史上最多の三連覇を成し遂げてしまうのか……。何がどうなるか分からない大会の結果は、3月26日まで待て!
同じマンションの人と偶然エレベーターで乗り合わせたときの、あの気まずい瞬間を乗り切るための方法を思案する漫才。同じようなシチュエーションを何度も繰り返すスタイルのネタだが、途中で役割を交代したり、犬が乗り合わせてくるというありえない状況にしたり、飽きない構成にしていたところは好感が持てる、が、それも含めて、あまりにオーソドックスすぎた。ある意味、一番手としての役目を果たしたといえるが、やや物足りず。
・響『漫才:同窓会』
同窓会に呼ばれたときの予行練習をする漫才。同窓会に参加しているクラスのマドンナ“ミツコ”を押し出したキャラクターネタだが、同時に“響”というコンビの現状を客観的に取り入れたネタでもある。「あの人(長友)はピン芸人」という自虐的なボケには笑ったが、どうもこういう設定は「芸人としての現状を客観的に理解していますよ」と表明されているようで、あまり好きではない。それはともかくとして、最後の最後に放たれた、響のギャグ「どうもすいませんでしたっ」が、モノの見事にスベったのには驚いた。言うタイミングは完璧だったと思うのだが……消費されているが故の悲劇と考えるべきか。
・ダブルブッキング『コント:本題とは違うところが気になる話』
立ち話をしているサラリーマン二人のうち、一人(川元さん)の繰り出す話の節々に、気になってしまう要素があって落ち着いて聞いていられない……というコント。近年、ダブルブッキングがイチオシにしているネタで、今年度もこのスタイルで視聴者投票一位を獲得した。一応、コントとしての体裁を保っているため、ところどころコントの礎となる話題が挟み込まれていたが、正直言ってそれらは邪魔でしかなく、ただ純粋に漫才として披露した方が良かったのではないかと思う。途中で役割を交代するという飽きさせない演出も取っていたが、そもそもの地盤となるべき前半部分がイマイチだったために、あまり効果を発揮せず。ただ、「うまく流れを掴めていれば、きっと大爆笑が起きていたんだろうなあ……」と思える箇所もあった。もうちょっと場の空気が違っていれば、大爆発していたのかもしれない。
・アルコ&ピース『コント:自殺の説得』
コントに使われるシチュエーションの定番中の定番、自殺をしようとする人とそれを説得しようとする人のコント。今回は、説得しようとする人が、上手い説得の言葉を吐き出すことが出来ずに、ネガティブな言葉を漏らし続けた結果、逆に自殺しようとしている人に励まされるという展開。あるまったく違った状況下にある二人が、話をしているうちに、その立場が入れ替わってしまうというのは、これまたコントに使われがちなトリックの一つ。つまり、このコントは、コントというジャンルでは定番とされているシチュエーションを、やはりコントというジャンルでは定番とされているトリックを使って、成立させているのである。それでも、このコントがそれなりに面白いのは、二人の演技力と構成力によるものなのだろうが……それだけでは、物足りない。
・アームストロング『漫才:ビールかけ』
野球の優勝でやるビールかけをやってみたい。スーパーマラドーナの漫才と同様に、同じようなシチュエーションを何度も繰り返すスタイルのネタだが、そのネタとネタの間のやりとりを展開させることで、やはり飽きないようにしている(勿論、ネタの内容もちょっとずつ変えている)。そういう展開の仕方は他のコンビがやっていない独創的なものなので、それなりに評価は出来る。が、それはつまり、肝心のネタの内容がイマイチだから、保険でやっていると捉えることも出来るわけで。以前にも書いたが、このコンビは自然体の会話で展開するコントがバツグンに上手いので、そちらをどんどん伸ばしていってもらいたいのだが……漫才は漫才で、いずれ開花することもあるのだろうか。
・パンクブーブー『漫才:隣人トラブル』
黒瀬さんの家に苦情を言いに来た隣人とのトラブル対処法。お察しの通り、M-1グランプリ2009でパンクブーブーを優勝に導いた漫才である(厳密に言うと「最終決戦に導いた」だが)。ここまでのコンビとは違い、最初から最後までキッチリと枠に収まった力強い漫才コントなのだが、基本的にやりとりが平行線を辿ってしまっているため、やや無理やりに長く繋げたという印象が残る。ここはあえて長くせずに、先のスーパーマラドーナやアームストロングの様に、細切れにした方が効果的だったのではないだろうか。というか、そもそもM-1の決勝で披露した漫才を選んだこと自体、チョイスミスだったのではないか。
・ラバーガール『コント:彼女』
大水の彼女の話。ところどころに飛び出すボケや奇妙なフレーズは、確かにラバーガールのそれなのだが、基本的な本筋が不明瞭なために、ただただだらだらと会話が続いているだけだという感覚に陥る。勝ちを狙いに来たというよりは、オンエアされることを前提に、今やりたいネタをやりに来ただけという印象が残ったのだが、果たして真相や如何に。今回、ここは勝ちを狙いに行けば、普通にチャンピオン大会に臨める位置にいただけに、このネタのチョイスはとにかく残念だった。来年でラストくらいじゃないかと思うんだけれども……。
・マシンガンズ『漫才:Yahoo!知恵袋』
「Yahoo!知恵袋」に書かれているマシンガンズに関する質問と回答を、次から次へとボヤきまくる漫才。そもそもボヤキというのは、観客が納得できる“怒りのあるあるネタ”としての趣が強いスタイルだが、今回のマシンガンズのネタは、そのボヤキの対象を自らで探り当ててきたようなところがあり、他のネタに比べて、やや入り込みにくく感じた。構成も些か粗雑で、漫才半ばで急に肯定的な意見を取り上げ、その後すぐ再びボヤきへと移る流れはちょっとどうかと思った。こちらもパンクブーブーと同様、無理に一本にまとめてしまったような。複数の話題を一つにまとめた方が、流れがスッキリしたんじゃないだろうか。
・ブロードキャスト『漫才:お年寄りを助ける』
容体が急変したお年寄りを助ける。容体が急変したお年寄りを発見するシーンから、救急車を呼ぶシーン、病院へと搬入するシーンへと展開する漫才で、これは今回のオンエアでは唯一のスタイル。話が展開するから飽きないし、ボケのバリエーションも豊富だったし、分かりやすくて面白いネタだった。ただ序盤、ブラックなボケが幾つも放出されたため、ちょっと重たい空気を引きずってしまっていたことは否めない。「救急車から担架を下ろす→短歌を読んでいる人が降りてくる」というボケは、ベタながら笑えたが。
以下、結果。
・結果
アームストロング(449kb)
ダブルブッキング(437kb)
マシンガンズ(413kb)
パンクブーブー(409kb)
ブロードキャスト(401kb)
スーパーマラドーナ(385kb)
アルコ&ピース(329kb)
ラバーガール(301kb)
響(293kb)
実質セミファイナルないし敗者復活戦と言っても過言ではない大会でありながら、全体的に低調な結果に。アームストロングがあのネタでチャンピオン大会進出だと考えると些か疑問は残るが、今回のメンバーの中からの進出だと考えると、納得せざるを得ない。そのくらい、皆が低調だった。変に気合が入り過ぎて、明らかにネタのチョイスを間違えていたコンビも何組か。まあ、過ぎてしまったことを、今更ああだこうだと言っても仕方ない。アームストロングの活躍に、期待するばかりである。
・次回
アームストロング(2)
イワイガワ(3)
エハラマサヒロ(初)
我人祥太(初)
こりゃめでてーな(初)
THE GEESE(2)
しんのすけとシャン(初)
トータルテンボス(6)※現王者
ななめ45°(4)
ノンスモーキン(初)
ハイキングウォーキング(3)
ハライチ(初)
ランチランチ(初)
U字工事(4)
全14組が出場するという、史上最多の芸人たちによる第12回チャンピオン大会ファイナル。そのうち、初のチャンピオン大会出場者が7組と、半数を占めている。彼らが波乱を巻き起こすのか、残る大会出場経験組6組が勝ち上がるのか、或いは現チャンピオンが史上最多の三連覇を成し遂げてしまうのか……。何がどうなるか分からない大会の結果は、3月26日まで待て!
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